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日本の解き方 石破政権で景気下方修正か 安倍元首相と正反対の見解、年内利上げ観測が再浮上も 景気にとって最も望ましかったのは高市氏

zakzak by夕刊フジ 2024年10月5日 10時0分

石破茂政権が発足した1日、9月の日銀短観が発表された。景気の現状と今後の動き、石破政権の政策の影響はどうなるだろうか。

日銀短観では、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた企業の景況感を示す業況判断指数(DI)で景気を判断する。

大企業・製造業の業況判断DIはプラス13だった。業種別では繊維、紙・パルプ、化学、窯業・土石製品、非鉄金属、食料品、金属製品、汎用機械、生産用機械、業務用機械、電気機械、造船・重機、自動車がプラスだった。木材・木製品は横ばいで、石油・石炭製品、鉄鋼はマイナスとなっている。

6月調査からの変化幅については、繊維、紙・パルプ、化学、非鉄金属、金属製品、生産用機械、電気機械、造船・重機が改善したが、業務用機械は横ばい、木材・木製品、石油・石炭製品、窯業・土石製品、鉄鋼、食料品、汎用機械、自動車は悪化した。

改善した業種は、ITの需要回復や原材料・エネルギー価格上昇が一段落したことが理由だが、悪化した業種は海外需要の伸び悩み、台風などによる工場停止、これまでのコスト上昇の影響というものだった。

総じて大企業・製造業をみると、6月のプラス13から改善と悪化が入り交じって、横ばいとなった。

一方、大企業非製造業のDIはプラス34だった。建設、不動産、物品賃貸、卸売、小売、運輸・郵便、通信、情報サービス、電気・ガス、対事業所サービス、対個人サービス、宿泊・飲食サービスと全業種でプラスとなった。

6月調査からの変化幅は、建設、不動産、小売、対事業所サービス、宿泊・飲食サービスで改善したが、物品賃貸は横ばい、卸売、運輸・郵便、通信、情報サービス、電気・ガス、対個人サービスは悪化した。

改善した業種では、価格転嫁がうまくできたという理由が多かったが、悪化した業種は台風や猛暑で需要が減退したなどの理由を挙げている。

こちらも6月のプラス33と比べると、改善と悪化が交錯してほぼ横ばいといえるだろう。

先行きをみると、大企業・製造業でほぼ横ばいのプラス14、大企業・非製造業でプラス28で若干の悪化を見込んでいる。

今回の調査は8月27日から9月30日までに行われており、石破政権の発足をほとんど織り込んでいないと思われる。

想定為替レートは、2023年度が1ドル=141円58銭、24年度が144円77銭と若干の円安を見込んでいる。

本コラムで既に書いたが、自民党総裁候補で景気にとって最も望ましかったのは高市早苗氏だ。そのため、石破氏が総裁選で勝利すると株価先物が急落した。石破氏は「日銀は政府の子会社ではない」と安倍晋三元首相の意見の真逆を言い、日銀に金利判断を委ねる意向のようなので、一時頓挫していた年内利上げ観測が再浮上してきた。

次回の短観では、石破政権を織り込んで、景気の見通しについて、下方修正があるだろう。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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