日経平均株価はゴールデンウイーク以降、横ばいを続けています。そのため、投資家の「買い気」は減退しています。
背景として指摘できるのは、まず「日銀の金融引き締めスタンス」の判断がつきにくいことです。大規模緩和の出口に向かっていることは明らかですが、問題はその「程度」です。
14日の日銀金融政策決定会合では、低金利継続のために行っていた国債買い入れについて減額方針が決定されたものの、計画詳細は次回7月末の会合で議論するとされました。
減額幅がどのくらいになるのか不透明で、投資家は日銀のスタンスが金融引き締めについてタカ派なのかハト派なのか判断がつきかねています。これが様子見姿勢につながります。
もうひとつは欧州各国の政情不安です。英独仏など主要国では政権に対する支持率が低迷しています。物価高や移民政策、ウクライナ支援などで世論が割れています。
スナク英首相は総選挙を7月4日に行うとしていますが、与党・保守党は野党・労働党に支持率で大差を付けられている現状です。ショルツ独政権も極右政党の台頭を許す形で支持率が低迷しています。
そしてフランスでは、10日に行われたヨーロッパ議会選挙でEUに懐疑的な右派と極右政党が議席を増やしました。マクロン仏大統領は国民議会(フランス議会下院)の解散と総選挙を決定。30日と7月7日の2回にわたり選挙が行われます。
下馬評ではマクロン大統領率いる「与党連合」は大敗し、右派国民連合と左派連合が議席を大幅に伸ばすとされています。フランス政治のいっそうの混乱が見込まれ、一部では「EU離脱を模索するのでは」と警戒されています。
2016年6月、イギリスでEU離脱の是非を問う国民投票が実施され、僅差で離脱支持が多数となり、翌17年に同国はEU離脱を通告しました。その「Brexit(ブレグジット)」と、それに伴うマーケットの混乱を想起させるものです。
フランス議会下院選挙が終わり、同国の政治状況を確認するまで、とくに欧州投資家は見送りを続けるかもしれません。日本株にも悪影響を及ぼす可能性があります。
この状況では国際情勢とあまり関係がない、内需中心企業で株価の動きが堅調な銘柄を手がけることになります。音響・映像サービスの「ヒビノ(2469)」、越境ECの「BEENOS(3328)」、ネット専業生保の「ライフネット生命保険(7157)」などに注目しています。 (株式ジャーナリスト 天海源一郎)