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高市早苗氏〝急伸〟 政策論・討論会で苦戦の進次郎氏ブレーキ 総裁選中盤情勢 問われる「国家危機に対処するリーダー」の真価

zakzak by夕刊フジ 2024年9月17日 11時32分

自民党総裁選(27日投開票)で過去最多9候補の論戦が本格化するなか、報道各社の中盤戦での世論調査結果が出そろってきた。石破茂元幹事長(67)と、小泉進次郎元環境相(43)、高市早苗経済安保相(63)の3強が火花を散らしてきたが、ここに来て政策通の保守政治家である高市氏への支持が拡大している。一方、序盤戦で最有力候補として注目された小泉氏は「選択的夫婦別姓の導入」や「解雇規制の見直し」などの政策論や討論会での受け答えから失速気味のようだ。過去最長となる選挙期間は残り10日ほど。終盤戦では9候補について、「国家危機に対処するリーダー」としての真価が問われそうだ。

報道各社世論調査

「国の究極の使命は、国民の生命と財産、領土・領海・領空・資源、そして国家の主権と名誉を守り抜くことだ」「(そのためには)総合的な国力の強化が必要だ」「日本列島を強く豊かにする」

高市氏は告示後、候補者討論会などで、持論である外交・安全保障力の強化を軸に、経済活性化による国民の暮らし向上なども含めた具体的な政策論を展開してきた。

報道各社の世論調査では、こうした訴えは着実に浸透しているようだ。

共同通信が15、16日に実施した自民党支持層を対象とした電話調査で「新総裁に誰がふさわしいか」を聞いたところ、高市氏が最多の27・7%で、石破氏23・7%、小泉氏19・1%だった。

読売新聞が14、15日に実施した全国の党員・党友への電話調査と、国会議員の支持動向調査を合計すると、石破、高市氏が123票で同数の首位、小泉氏が105票で追う展開になっていた。

序盤戦では、石破、小泉両氏が競り合い、高市氏が猛追する構図だったが、高市氏が急伸している理由は何か。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「総裁選を通して、『政治とカネ』の問題にとどまらない自民党の宿痾(しゅくあ=持病)が次々あぶり出されている。こうしたなか、党員・党友は『選挙で勝てる顔』という選択基準だけでなく、『改革と政策を断行できる新総裁』を待ち望んでいる。上位を争う候補のうち、明確な国家観があるのは、高市氏と石破氏だ。高市氏は論戦で強みを発揮しており、実行力を期待する雰囲気が後押しになっている。『日本初の女性総理』というポイントもある」と語る。

日本を取り巻く国際情勢は厳しい。日本のGDP(国内総生産)は2023年にドイツに抜かれて4位に転落した。来年にはインドに抜かれ、世界5位になる見通しだ。日本の安全保障環境も厳しく、中国とロシア、北朝鮮という「反日」的な核保有国に囲まれている。

世論調査でも、こうした自民党支持層などの意向が浮き彫りになっている。

先の共同調査では、新首相に期待する課題のトップは「景気・物価高対策」(36・2%)で、「外交・安全保障」(24・5%)が続いた。

同様に読売調査では、選んだ候補の支持理由は「政策に期待できる」が27%でトップで、「改革意欲がある」(21%)、「人柄が信用できる」(12%)が続いた。重視する政策も、「外交や安全保障」(27%)、「景気や雇用」(19%)がトップ2だった。

保守系の自民党議員は「21年の前回総裁選の後、高市氏は全国の選挙で応援に回り、地方での講演で政策の持論を丁寧に説明してきた。SNSなどの発信を含めて、党員・党友をはじめ国民の多くが高市氏の『何たるか』を知っている。昨年のLGBT法の拙速な法制化で岸田文雄政権から離れた『岩盤保守層』を取り戻せる候補だ。ここからは、説得力のある筋の通った主張を貫けるかが勝負だろう」と語る。

こうしたなか、小泉氏は討論会でも苦戦している。

前出の共同調査では、目玉に掲げた「選択的夫婦別姓の導入」では、賛成41・4%、反対43・2%と賛否が拮抗(きっこう)し、候補者同士の議論でも説明に追われる局面が続いている。討論は公開のかたちで全国行脚するだけに、さらに地力が問われる。

ある中堅議員は「小泉氏は『選択的夫婦別姓』や『解雇規制の見直し』を焦点に打ち出したが、記者会見で説明した事実関係も怪しく、国民の反発を招いている。目玉政策としては『ミスチョイス』で、討論会でも他候補の突っ込みを受けている。こうなると、高市氏、石破氏らベテランに一日の長がある。ただ、小泉陣営は議員票で一歩リードしている。引き締めと、巻き返しに必死のようだ」と語る。

確かに、総裁選の選挙期間はまだ10日ほどあり、投票先未定の議員も一定数いる。情勢は流動的なのだ。

それぞれに〝弱点〟有馬晴海氏

政治評論家の有馬晴海氏は「上位を争う石破氏、高市氏、小泉氏はそれぞれ〝弱点〟も抱える。石破氏は『実行力の無さ』が指摘され、高市氏の保守的主張ももろ刃の剣となりかねない。小泉氏は政策論がブレて、論戦で苦境だ。菅義偉前首相と麻生太郎副総裁というキングメーカー同士の対決も熾烈(しれつ)だ。決選投票にもつれ込むのは確実な情勢だけに、水面下で相当な駆け引きが繰り広げられるだろう」と指摘した。

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