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わが社の「健康経営」 オムロン(1)社食メニュー変更、ウオーキングイベント実施 「職場で健康になる」取り組み実践 受診勧奨者へのフォローアップが課題

zakzak by夕刊フジ 2024年9月4日 15時30分

食生活を正すことが健康に役立つとわかっていても、忙しさを言い訳に取り組めない人は多い。30~50代の男女は、健康な食習慣の妨げについて「仕事(家事・育児等)が忙しくて時間がないこと」が最多の理由だった(厚生労働省2019年「国民健康・栄養調査」)。ならば、職場で健康になる。そんな取り組みを実践しているのがオムロンだ。

同社が「笑顔と活力にあふれる健康的な職場を創造し続ける」と、健康経営宣言をしたのが2017年。

「以前から健康に対する取り組みは行っていますが、グループ各社で共通のルールが必要でした。運動や睡眠、食事などの5項目について全社共有の指標『Boost5』を設定し、達成できる社員を増やすためにさまざまな取り組みを行っています」とは、同社の人事・総務・経理を統括するオムロンエキスパートリンク労働安全衛生マネジメントグループ長の小森実幸氏。

〝健康的な職場〟のため社員食堂のメニューを変え、ウオーキングイベント「オムウォーク」などを実施。Boost5の達成状況から年ごとに「食事」「運動」などの注力テーマを決め、セミナーやラジオ体操の普及促進、オンラインセミナーなどで、健康増進の後押しをしている。Boost5の5つの指標を見事達成した社員は、「Boost5マイスター」として表彰。だが、全ての社員が健康に目覚めるには、さらなる秘策が必要だった。

【人事から管理職への受診勧奨】

現在、定期健康診断受診率は100%を達成しているが、2022年度の精密検査受診率は61%だった。

「人事部が受診勧奨をし、受診時にはフレックスタイムを使えるなどの周知をしました。これまでは看護職が受診勧奨していましたが、人事部から管理職、そして部下へと受診勧奨の流れを変えたのです」とは、保健師でオムロンエキスパートリンク労働安全衛生マネジメントグループの今川かおる氏。

仕事が忙しいと受診勧奨を受けても、無視することはありがちだが、上長からいわれれば行かざるをえない。また、管理職自身も、人事部からの受診勧奨は無視することができない。上長が受診することで、部下も受診しやすい環境が整うと考えたのだ。

「受診後の報告も人事にしてもらったところ、23年の受診率は80%に上昇しました。ただし、地域によっては、精密検査をすぐに受けられる医療機関が近くにありません。そのフォローアップをどうするかは、今後の課題です」(今川氏)

さらに、生活習慣病は自覚症状に乏しいため、受診勧奨後に治療を受けても、「面倒だから」と途中で止める人がいる。

「超高齢社会では、治療の継続も重要な課題だと思っています。心筋梗塞や脳卒中を防ぎ、メンタルも含めた健康のリテラシーをいかに上げるか、今後、さらに力を入れたいと思っています」と小森氏は展望する。 (取材・安達純子) =火曜日掲載

■オムロン株式会社 オートメーションのリーディングカンパニーとして、制御機器、電子部品、社会システム、ヘルスケア、データソリューションなど。世界130カ国以上で商品・サービスを提供。グループ従業員数2万8450人(2024年3月末時点)。1933年創業、48年設立。経済産業省等の「健康経営優良法人(ホワイト500)」に8年連続で認定。

【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。

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