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巨人優勝手記 前編 〝向いていない主将〟岡本和真「前の優勝とはまったく違う感情」 2年目は全試合4番で出場 新生阿部巨人の強みは「日替わりヒーロー」

zakzak by夕刊フジ 2024年9月30日 15時0分

2022年オフから読売巨人軍第20代主将を担い、今季は全試合に4番で出場して4年ぶりのセ・リーグ優勝まで牽引した岡本和真内野手(28)が、本紙に2回にわたる大型手記を寄せた。優勝マジック「1」で臨んだ28日の広島戦(マツダ)では、決勝適時二塁打を含む4安打3打点と主砲の仕事を果たして8―1の勝利に貢献。最後の打者が二ゴロに倒れ、ウイニングボールは自身のファーストミットに収まった。就任1年目で覇権奪回を果たした阿部慎之助監督(45)が広島の夜空に胴上げされると、主将2年目での歓喜に人目もはばからず涙。手記第1回では6月の絶不調から復活するまでの苦闘、主将には「向いてない」という言葉とは裏腹のチームへの熱い思いや理想の組織論、新生阿部巨人の強さの理由などを思う存分につづる。

(構成・片岡将)

やっと、やっとこの日を迎えられました

やっと、やっとこの日を迎えられました。チームとして4年ぶりのリーグ優勝。1年間、この優勝を目指してやってきました。28日の4安打は、こういうところで打てるように取り組んできました。それが出せたことが本当にうれしい。

今季、チームとしてのターニングポイントはいっぱいありました。一つに絞るのは難しいですが、チームが本当にいい方向に向かっていると確信できたのは、9月10―12日の広島3連戦(マツダ)で3連勝したところ。いつも必死ですけど、本当に必死こいて、勝ち切れた。来た! と思いましたね。

2019、20年の優勝は先輩たちについていった感じでした。19年は試合に出始めて2年目。前年は結果を残せたけど、今年はどうなのかなっていう中で、自分のことで精いっぱいだった。今回は逆で、僕が年上になって引っ張っていく立場、やらないといけない立場ですから。キャプテンもやってますし、4番も打ってます。だから前の優勝とはまったく違う感情ですよ。充実感ももちろん全く違います。だって、ここ最近は優勝争いじゃなくて、Aクラスにどうやって入るかだったわけですからね。

こうなればリーグ優勝のその先、日本一ももちろん獲りたい。前回12年の日本一で銀座パレードを経験されている阿部監督や坂本(勇人)さん、長野(久義)さんのお話を聞いても、やっぱり「最高や」っていいますからね。銀座パレードをキャプテンとして経験したいと思います。

キャプテンとして―と書きましたが、任せていただいて2年目になってもいまだに向いてないなと思うし、早く(門脇)誠がやればいいと思っています。自分なりのキャプテン像とかリーダー像ってないんです。プロ野球って個人競技で、チームは個人事業主の集まり。それでもチームなんで、助け合いながらやりたい。サポートが必要な人がいれば気付いた人が寄り添ってあげればいいし、気付いた人がモノを言える環境がいいと考えています。もちろん、僕も気付けば言いますし、手助けしますよ。でも、キャプテンだからっていうことでもないんですよね。

個人的にシーズンを振り返ると、苦しかったのは6月。二塁打とかは出てもホームランがなかなか打てなくて、きっかけになる打席もなかなかなくて。試合に出る以上は考えてやっていましたけど、しっくりくる、これだっていうのがなくて、気持ち的にも苦しいものがありました。

不振脱出のきっかけは8・9中日戦

脱出するきっかけになったのは、8月9日の中日戦(バンテリンドーム)でした。ヒットを2本打てたんですが、「これでやれば、なんとか巻き返せるんじゃないかな」と。詳細には言えないんですが、見つけたポイントは構えの部分と、その中で意識するところ。これを続けてやってみようと思えた。バッティングって、1個はまると全部良くなるんですよ。そのはまるものを毎日探すのが大変なんです。ただ、その1つのベースがあれば、相手が誰であれ、ここを元にこうしようとかアレンジができる。

チームにとってはもっと早ければ本当は良かったんですけど、優勝争いしているときに、なんとか自分のいい状態を合わせられたとは思います。それまではカバーしてもらって、助けてもらいながらやってこれた。チームのみんなに感謝です。

この、誰かが誰かをカバーできるというのが今年のチームの強み、そして優勝できた理由だったのかもしれません。浅野(翔吾)のように試合に出始めの選手は、自分のことを考えて必死にプレーしてくれたらいい。僕ら主力が責任を取ればいいんです。目の色を変えてゲームに入っていってる子が日替わりで結果を出して、そうじゃないときは僕らがカバーできたらいい循環になりますよね。今まではチームとして、そこがなかった。誰かが打てなかったらもう勝てない、みたいなチームでは優勝ってできない。優勝するチームっていうのは、その日誰かが打てなくても、ほかの誰かがヒーローになる。そういうところが今年は、この何年間の中では多かったように思えます。 (読売巨人軍主将・内野手 岡本和真) =あすに続く

◆岡本和真年度別成績◆

年度 順位 試合 打率 本塁打 打点

2015 2 17 .214 1 4

2016 2 3 .100 0 0

2017 4 15 .194 0 2

2018 3 143 .309 33 100

2019 1 143 .265 31 94

2020 1 118 .275 31 97

2021 3 143 .265 39 113

2022 4 140 .252 30 82

2023 4 140 .278 41 93

2024 1 142 .281 27 83

※2024年成績は30日現在、白抜き数字はタイトル獲得

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