韓国の左翼勢力は「次なる日本たたき材料」の瀬踏みを始めている。浮上しているのは、「関東大震災での朝鮮人虐殺」と、「浮島丸沈没事件」だ。とりあえずの要求は「真相究明」。次に控えるのは、国技たる「謝罪と賠償」だ。
〝蒸し返すは我にあり〟―付き合いきれない国民性だが、日本には、その再点火・呼応勢力がいるのだからヤッカイだ。
「浮島丸などの歴史を覆い隠すと韓日間に信頼は生まれない」
ハンギョレ新聞(10月1日)のこの見出しを見たとき、自虐史観の首相が、またそんなことを言ったのか? と早とちりした(実際の発言者は『浮島丸事件』を追う日本人)。
なぜなら、石破茂首相の過去の発言からすれば、彼がそう語ったとしても、何ら違和感はないからだ。
日本人のほとんどは「浮島丸沈没事件」なんて聞いたこともあるまい。
簡単に説明すると、終戦直後の1945年8月、日本にいた朝鮮人の帰国希望者を乗せた旧海軍の輸送船「浮島丸」が真鶴港に停泊中に謎の爆発により沈没し、多数の朝鮮人(日本人の船員もいた)が死亡した事件だ。
日本政府は米軍が敷設した機雷によると推定し、524人が死亡したとしている。
韓国の運動組織は「日本が仕掛けた爆薬により、3000人以上が死亡した」と主張している。
忘れられていた事件に再点火したのは、日本の社民党だ。福島瑞穂党首は7月に訪韓して、国会議員らと意見交換した。韓国人も問題にしていなかった「慰安婦」問題が大炎上した経緯によく似ている。
慰安婦問題は、支援組織の中核の〝詐欺犯的な腐敗〟が続々と明るみに出て、韓国内でもエネルギーが消えうせた。自称・徴用工問題も「カネではなく謝罪だ」と叫んでいた原告が次々と、第三者弁済金を受け取ってしまった。
韓国の左翼勢力としては、新しい「反日」タネがどうしても必要だ。
朝鮮総連系が主導しているので、いま一つ本腰で取り組んでいなかった「関東大震災での朝鮮人虐殺」は来年、大きな問題になるだろう。韓国人もほとんど知らなかった浮島丸事件の浮上は、韓国の左翼勢力にとって、もっけの幸いだ。
ヨタヨタと続く可能性がある石破政権は、どう対応するのだろうか。