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日本の解き方 SNSは選挙を変えるのか 小池氏の浮動票奪った石丸氏が都知事選2位 若者層の浸透に効果も 選挙後の会見で台無しに

zakzak by夕刊フジ 2024年7月13日 15時0分

東京都知事選では、SNSで知名度を上げた前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が、10~30代の支持を集めて2位に入った。こうした手法は、既存の政党や今後の国政選挙にも影響を与えるだろうか。

都知事選については、やはり投票終了時の7日午後8時に当確が出る「ゼロ打ち」で、現職の小池百合子知事が3選を決めた。

当初は小池氏と元参院議員の蓮舫氏の〝事実上の一騎打ち〟と各マスコミは煽(あお)っていたが、結果は、蓮舫氏は2位でなく、3位だった。

筆者は、自分のユーチューブチャンネル「高橋洋一チャンネル」で、「蓮舫さん猛追! みたいな事が書いてあるが、小池さんの浮動票が落ちている」と分析している。また、その浮動票を奪ったのが、石丸氏だった。

蓮舫氏は、共産党と組んだので、浮動票を取れなくなった。しかも、開票日は晴天で投票率を高める方向に作用し、蓮舫氏の劣位は隠しようがなかった。ユーチューブで「2位じゃだめですかと言ったら3位になっちゃったでは、これはもう話にならない」と言ったことが、現実になってしまった。

筆者は、自分の選挙予測を投開票の前に行っている。ただし公選法の規定もあるので、その内容が分からないように、投開票の前にXで「今ある計算をしていたら、珍しい4つの素数がでてきた。11、13、17、29」と投稿した。実は、これは都知事選での予想得票者数で、単位は10万人で、1位が290万人、2位が170万人、3位が130万人、その他が110万人というものだった。

実際の投票結果は、小池氏が約291万票、石丸氏が165万票、蓮舫氏が約128万票、その他が約102万票だった。丸めれば、290万、170万、130万、100万となる。おそらく日本一正確な選挙予測だっただろう。

この予測は、まず今回の都知事選の投票率を正しく推計しないとできない。期日前投票は有権者の20%程度と分かっているが、投開票日に有権者の何%かは当日の天候などに依存するので至難の業だ。筆者は61%と予測し、実際は60・62%だったので、まずまずだった。

小池氏は基礎票と浮動票、石丸氏は浮動票、蓮舫氏は基礎票というモデルで計算した。これはどう転んでも小池氏が1位だが、投開票日の投票率によって2位と3位は入れ替わる可能性もあった。

選挙結果を的中させた筆者からみれば、石丸氏の浮動票狙いは驚くようなことではない。あえて類似例を探せば、2011年の都知事選で、1位の石原慎太郎氏が約262万票だったが、2位の東国原英夫氏が約169万票だったことだ。SNSで若者層への浸透を狙うのは理にかなっているが、それだけでは都知事の座までは届かない。

この若者層は、安倍晋三・菅義偉政権では、就職率が改善したことから自民党が取っていたが、岸田文雄政権では取れていない。そこを石丸氏はうまく突いたが、選挙後の記者会見で台無しにしたかもしれない。 (元内閣参事官・嘉悦大教授 高橋洋一)

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