プロ野球界も今週いっぱいで仕事納め。楽天のレジェンドに可愛がられながら日本球界を追放同然でメキシコに新天地を求めた剛腕投手、2000安打は射程圏内も今季無安打で戦力外となったWBC世界一戦士、そして薬物に手を染めて有罪判決を受けた元ドラフト1位まで、去就未定で年末を迎えた〝あの人たちの今〟を伝える。 (山戸英州)
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今オフに楽天と衝撃の決別を迎えた田中将大投手(36)は、巨人が受け入れ先として手を挙げた。だが、仲が良い田中の威光を笠に着て複数の後輩選手にパワハラを働き、1年前に楽天から自由契約となった安楽智大投手(27)は、地球の裏側で奮闘も目標の米大リーグ行きには暗雲が垂れ込めている。
コンプライアンス重視の国内他球団にもそっぽを向かれた昨オフ、行き場をなくした安楽に救いの手を差し伸べたのは、クセの強い日米の選手も多数手掛けてきた大物代理人だった。国内各球団が今春キャンプを打ち上げた3月に入ると、メキシコリーグに活路を見いだしてレッドデビルズ入りを後押し。安楽も言葉の通じない異国の地でハングリーさを見せ、前DeNAのバウアーらとともにリーグ優勝に貢献し、胴上げ投手の栄誉にも浴した。
ところがオフに入ると、恩義ある代理人への態度が急変したという。「メキシコリーグ制覇で気が大きくなり、『俺もアメリカで活躍できるっしょ!』と大口を叩くようになった。代理人から『本気で目指すならドミニカか、プエルトリコのウインターリーグに参加してアピールしたら』と勧められても、『向こう(メジャー)からオファーが来るのを待ってます』と拒否。さすがに代理人も『勝手にしろ!』とさじを投げてしまい、契約解除に至った」(メジャー関係者)
1年たっても改心した様子が見えない後輩の現状に、楽天OBは「あれほどの代理人に見捨てられたらもう、誰も手を差し伸べてくれないよ。まだ自分の置かれている立場が理解できていないのか…」とあきれ顔。人の根っこはそう簡単には変わらないということか。