イスラム原理主義組織ハマスの最高指導者だったハニヤ氏がイランで暗殺され、イランとイスラエルの緊張が極度に高まっている。ジョン・カービー米大統領補佐官は１２日、イランが今週にも報復に踏み切る可能性があるとして、「大規模攻撃に備えないといけない」と強調した。難航する停戦交渉の再開。米軍は最強の原子力潜水艦や空母打撃群を中東に派遣し、対応を急いでいる。
イスラエル軍のダニエル・ハガリ報道官は１２日、イスラエルへの報復を宣言するイランとレバノンの民兵組織ヒズボラについて、「（最高レベルの）厳戒態勢を敷いている」と語った。
米国とエジプト、カタールの３カ国は緊張緩和に向け、１５日にパレスチナ自治区ガザの停戦交渉を再開するようイスラエルとハマスに呼びかけている。
ジョー・バイデン米大統領は１２日、英国やフランス、ドイツ、イタリアの首脳と電話会談した。米欧首脳は共同声明で、イランに報復を断念するよう要求した。イラン側がイスラエル攻撃に踏み切った場合、イスラエルの「防衛を支援する」ことも確認した。
バイデン大統領は１３日、停戦交渉について「より困難になりつつある」とし、難航していると認めながら、「私は諦めていない」と停戦実現への決意も示した。
これに先立ち、ロイド・オースティン米国防長官は１３日までに、原子力潜水艦「ジョージア」の中東への派遣を命じた。原子力空母「エーブラハム・リンカーン」を中核とする空母打撃群の中東到着を早めるよう指示を出した。
ジョージアは、米海軍のオハイオ級原子力潜水艦の４番艦。全長約１７０メートル、全幅約１３メートルで。トマホーク巡航ミサイルを１５４基も搭載できる。「西側最大最強の原潜」ともいわれる。