有名企業の就職に強い大学を業種ごとに紹介していく、業種別就職者数ランキングの2回目は、みずほフィナンシャルグループ(FG)、三井住友銀行、三菱UFJ銀行の合計就職者数を集計した、「3大メガバンクに強い大学ランク」をお届けする。
大学通信は毎年、医学部と歯学部の単科大学を除くすべての大学を対象に就職状況調査をしている。2024年は560大学(74・0%)から回答が寄せられ、その集計値でランキングを作成した。
一般職の募集減に伴い、採用者が減少傾向にあったメガバンクだが、24年卒では多くの大学で採用者が増えている。メガバンク3行の採用判明数は、23年卒の1107人から1969人に増えているのだ。この要因について、企業の採用支援を行っている、ワークス・ジャパン代表の清水信一郎氏は、こう話す。
「みずほFGが採用形態を変更した影響でしょう。みずほFGやみずほ銀行、みずほ信託銀行、みずほ証券など5社を共同事業体として合同採用するようになったことが、採用増につながっているのだと思います」
なるほど、24年卒のみずほFGの採用判明数を前年と比較すると、434人から1156人に増加。他の2行も三井住友が356人から471人、三菱UFJが317人から342人と増えているが、それでも難関に変わりはない。
「以前に比べて採用が抑えられている状況は変わりません。キャリアを重ねていく上で有利な金融知識が身に着くメガバンクの人気は高く、優秀な学生が集まるためハードルは高い」(前出の清水氏)
採用判明数が増えても、24年に1行でも採用があったのは125大学で、回答大学全体の22・3%。そのうち、3行すべてに採用者がいるのは38大学のみだった。
ランキング全体を見渡すと、私立の総合大学が大半を占めている。前年のベスト10には、東大(3位)と大阪大(5位)、京大(7位)、神戸大(10位)の4大学が入っていたが、このうち、大阪大以外はランク外。メガバンクの採用判明数が増えた分、文系学部の定員が多い私立大の強みが出た形のようだ。
ランキングの1位は前年を79人上回った慶應義塾大で、2位の早稲田大は前年比93人増。早慶は前年と同じ順位だが、3位には東大(12位)に代わって明治大が入った。前年の49人から倍増して6位から順位を上げている。4位の中央大は前年8位、5位の同志社大は同12位から、それぞれ順位を上げている。
銀行別に就職者が多い大学を見ていこう。みずほFGの採用者が最も多いのは早大の119人で、慶大107人、明大66人、中大56人、法政大53人。三井住友は、慶大67人、早大57人、関西学院大25人、同志社大23人、京大(11位)と神戸大(15位)が各22人。大阪発祥らしく、近畿圏の大学が強さを見せる。三菱UFJは、慶大59人、早大45人、京大21人、阪大19人、明大17人となっている。
■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。