長野市のJR長野駅前で男女3人が刺されて会社員の丸山浩由さん(49)が死亡、2人が重軽傷を負った事件で、長野県警捜査本部に26日、殺人未遂容疑で逮捕された無職、矢口雄資(ゆうすけ)容疑者(46)。被害者3人とは面識がないとみられる。調べに対し、黙秘しているというが、子供のころは優しかったという容疑者にいったい何があったのか。
現場から徒歩で立ち去った矢口容疑者は、駅から東へわずか約3キロ離れた住宅地にある自宅で息をひそめていた。身柄が確保された際は、県警捜査1課の特殊班が突入したとみられ、チェーンソーで金属を切るような音や閃光弾が放たれるような音がする騒ぎだったという。
集合住宅の最上階で1人暮らしをしていた矢口容疑者。知人らによると、長野市の小中高校を卒業。3人兄弟の末っ子で幼い頃に母を病気で亡くしたというが、中学時代の同級生は「頭も良く、明るくて優しかった。事件とはまったく結びつかない」と語るなど、驚きを隠せない。
矢口容疑者の小学校時代の卒業文集には、一番欲しいものに「やさしい心」、将来の夢には「教師」などと書かれていたとの報道もある。
20代のころは、関東地方のIT系の企業で働いていたとされるが、現在は実家に戻り、父とは離れて暮らしていた。この間の矢口容疑者の行動についてはいまだ不明の点が多い。
一方で、同級生の間では矢口容疑者が数年前から精神的に不安定だったとする話が広がり、心配する声も上がっていたという。近隣では昨年11月、矢口容疑者と似た男が意味不明な言葉を発し、怒鳴るなどしていたとの目撃情報も聞かれた。