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大鶴義丹 やっぱりOUTだぜ!! 伊東純也さんが代表復帰、女性トラブル報じたメディアは〝スルー顔〟週刊誌の祖が名乗った「団団珍聞」の気概、今の彼らにあるのか

zakzak by夕刊フジ 2024年9月10日 11時0分

これは大きな「転換」だと思う。サッカー日本代表のMF・伊東純也さんが、9月5日のW杯アジア最終予選において約7カ月ぶりの復帰戦で大活躍を見せた。

言うまでもなく伊東選手の復帰は、一連の女性トラブルからの完全復帰を示すことでもある。

このトラブル、関係者たちの複雑な相関図なども出ているが、何やら厄介なキャラクターも登場していて、ハッキリとした答えは表には出ていない。

しかし、伊東選手が一連の騒動に対して不起訴を勝ち取り、約7カ月ぶりに晴れて代表復帰を果たしたことには大きな意味があるはずだ。

それは「日本サッカー協会」という公的な組織が、この一連の騒動に対して冤罪(えんざい)の確信を得ているということである。

また、この騒動は不起訴や冤罪だけでは終わらない。

無責任に報じた週刊誌の忌まわしき大罪の清算や、グレーな登場人物として写真や名前が世間に広まってしまった、タレント経験のある2人の存在も忘れてはならない。

一説には巻き込まれたという見方もあるが、デジタル・タトゥーの時代においては、よろしくない結末だろう。

今回の騒動が、ハニー系だったのか否かは霧がかかったままである。

私見としては、今回のような週刊誌の「勇み足」というのは、名誉毀損(きそん)の賠償額の相場が劇的に変わらない限りはこの先もなくならない。

賠償額は1000万円が天井とも言われるが、被害者が著名人など社会的評価の影響を受けやすい人の場合は、それでリカバリーができるわけもない。

だが、アメリカのように高額化すると、悪い企業や政治家などが罪を隠すためにスラップ起訴をするケースが増えるのも分かりきったことで、そのバランス取りは難しい。

そして最も後味が悪いのは、晴れての復帰という結末に対して、多くのマスメディアが何となく「スルー顔」をしていることだ。

そもそも何のために存在する週刊誌なのだろう。明治初期に作られた大衆週刊誌の祖と言われるものは、自らを「団団珍聞」(まるまるちんぶん)と名乗っていた。

政府による言論弾圧をかわす手法として、「〇〇という伏せ字」を意味するという。

その背景には自由民権運動があり、風刺と戯画で政府を批判して、頻繁に発売禁止や発行停止の弾圧を受けていた。

素晴らしい気概だ。そんな気骨が今の彼らにあるのか不明だ。

祖先の気概を知ることの意義は、私たち「俳優」も同じだろう。

それは「俳優・わざおぎ」と呼ばれ、日本書紀の中にも出てくる言葉で、神事におけるシャーマンのこと。

その後に、能や狂言の世界で「役者」という言葉が生まれ、歌舞伎につながっていく。

気軽に「俳優です」などと称してはいけないと、自らを律する限りだ。

■大鶴義丹(おおつる・ぎたん) 1968年4月24日生まれ、東京都出身。俳優、小説家、映画監督。88年、映画「首都高速トライアル」で俳優デビュー。90年には「スプラッシュ」で第14回すばる文学賞を受賞し小説家デビュー。NHK・Eテレ「ワルイコあつまれ」セミレギュラー。

10月14~23日に、東京・赤坂サカス広場特設紫テントで上演される新宿梁山泊の「ジャガーの眼」の舞台に立つ。

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