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ドナルド・サザーランド氏を偲ぶ 俳優人生の原点は反戦映画「M★A★S★Hマッシュ」「JFK」では陰謀暴く謎の男Ⅹ大佐熱演

zakzak by夕刊フジ 2024年6月26日 11時0分

カナダ出身の俳優、ドナルド・サザーランドが20日、フロリダ州マイアミで死去した。88歳だった。わが国のマスコミは、若い映画ファンを意識し、「ハンガー・ゲーム」(2012年)などを代表作として挙げているが、往年のファンにも分かる経歴を紹介することでいぶし銀の俳優をしのびたい。

カナダから英国に渡って、舞台で修業を積んでいた1963年に映画デビューしたので初期の2本は欧州の作品である。

2作目の英怪奇映画「テラー博士の恐怖」(65年)は、私も観ているのだが、出演シーンは思い出せない。

多分、同世代の映画スターたちがテレビ映画で顔を売っていたのに対し、テレビに出演していなかったせいではないか。英国出身のデヴィッド・マッカラムでさえ、米国のテレビシリーズ「0011/ナポレオン・ソロ」でブレークしていたほどだ。

次の「駆逐艦ベッドフォード作戦」(65年)も観ているが、やはり記憶にない。

最初に強く印象に残ったのは、67年に公開されたリー・マービン主演の「特攻大作戦」である。本作で特異な表情を見せるキャラクターが、続く出演作の役に引き継がれていくことになる。

3年後の反戦映画「M★A★S★Hマッシュ」(70年)で有名になったのは間違いない。時代はベトナム反戦運動が高揚している真っ最中。

同年には、戦争映画「戦略大作戦」で、クリント・イーストウッドと共演し、大スターの仲間入りを果たす。その後「イナゴの日」(75年)や「鷲は舞い降りた」(76年)、「普通の人々」(80年)など、数多くの話題作、問題作に重要な役で出演している。

特筆すべきは、ベトナム戦争を推進するため、CIA、軍産複合体がジョン・F・ケネディ大統領を暗殺したと推理する「JFK」(91年)で、陰謀を暴く謎の男Ⅹ大佐を熱演したことだ。

晩年に解説者として声だけ出演した記録映画「JFK/新証言 知られざる陰謀【劇場版】」(2023年)でも分かるように、映画俳優人生の原点はベトナム反戦運動を背景とした「M★A★S★Hマッシュ」といえよう。 (瀬戸川宗太)

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