お笑いの賞レースで取り沙汰される〝吉本〟vs〝非吉本〟の戦いが熾烈を極めている。女性芸人の日本一を決める「THE W」では事務所に所属しないフリー芸人のにぼしいわし(香空にぼし、伽説いわし)が頂点に立ったのだ。今年のお笑い賞レースでは〝非吉本〟勢が勢いを強めている。22日に決勝戦が行われる「M―1グランプリ」もその波に飲まれてしまうのか。
「THE W」で、決勝進出した12組のうち、吉本勢はわずか4組で、最終決戦に残った3組はすべて非吉本勢だった。
今年の主な賞レースをみると、大阪で開催されている「上方漫才協会大賞」や「ytv漫才新人賞」といった賞レースでは吉本所属の芸人が優勝している。
しかし「Rー1グランプリ」では、トゥインクル・コーポレーション所属の街裏ぴんく、「キングオブコント」はASH&Dコーポレーションのラブレターズがそれぞれ王者に就いた。そして「THE W」でもフリーのにぼしいわしが頂点に立ったわけだ。
では、今年の「M―1」はどうか。現時点で決勝進出を決めた9組中、非吉本勢は「真空ジェシカ」(プロダクション人力舎)、「トム・ブラウン」、「ヤーレンズ」(ともにケイダッシュ・ステージ)、「ママタルト」(サンミュージック)とすでに4組。昨年、一昨年がそれぞれ3組だったことをみると、やはり非吉本勢が勢いを増していると感じざるを得ない。
「〝笑いの王国〟である吉本興業は、やはり6000組もの芸人が所属しているだけあって層が厚く、若手がしのぎを削っているうえ、芸を磨く舞台も多く抱えているので、賞レースに強いのも当然です」と演芸関係者。そしてこう続ける。
「ただ、これまで大きな賞レースで決勝に出てくる非吉本勢をみてわかるのは〝規格外〟の芸人が多いということです。ハリウッドザコシショウや街裏ぴんくもそうですし、今回決勝に残ったトム・ブラウンや真空ジェシカもそう。吉本興業は養成所からしっかり芸人を育てています。しかし、それで型にはまってしまっては〝規格外〟には勝てない。賞レースでは、その瞬間の〝インパクト〟や〝破壊力〟も影響します。そういう意味で〝規格外〟の非吉本勢は恐るべき存在といえるでしょう」