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歌姫伝説 中森明菜の軌跡と奇跡 中森明菜が交渉5年…矢沢永吉からOKの〝粘り勝ち〟「チャイナタウン」の女性カバー デビュー25周年のファイナル企画

zakzak by夕刊フジ 2024年11月19日 11時0分

デビュー25周年を迎えた2006年を改めて振り返ると、中森明菜は3年ぶりのオリジナル・アルバム「DESTINATION」を6月に発売した。この年の1月2日に西田敏行さん主演で放送されたテレビ10時間時代劇ドラマ「天下騒乱 徳川三代の陰謀」(テレビ東京系)の主題歌「落花流水」や、黒木瞳との共演ドラマ「プリマダム」(日本テレビ系)のエンディングテーマ曲「花よ踊れ」などが収録された。音楽関係者はこう話す。

「聴き応え十分のアルバムとして評判も良かったのですが、それ以上に話題になったのがジャケットでした。というのも明菜がデビューした当時の写真を使用したのです。渡辺達生さんが撮ったものを明菜が持ち続けていたのです。まさに『秘蔵の1枚』。そんな写真を明菜が使いたいと言い出したわけですから、やはり『初心に戻った気持ちで…』との思いがあったのでしょう」

実際、明菜もアルバムの発売に際して「私の大好きなラテンナンバーはもちろん、メローなミディアムナンバーや、ずっとトライしてみたかったR&Bの要素も盛り込んだバラエティー豊かな12曲入りです。25年間の音楽活動を総括する記念すべきアルバムになりました。ですから、今まで以上に私の歌を多くの方々に楽しんでいただきたいと思っています」と語っていた。

アルバムだけではない。25周年を迎えた明菜が初めて挑戦したのがパチンコCR機のキャラクターだった。大一商会の「CR中森明菜・歌姫伝説」で、アルバムの発売に合わせて導入された。

「CR機では新曲『GAME』もできてアルバムにも収録されました。CR機で大当たりが続くと同曲のミュージック・ビデオも流れるようになっていました」

連続15Rの大当たりが5回以上続くと、1R中に楽曲選択画面が出るようになり、画面には新曲「GAME」のほか「DESIRE」や「北ウイング」「少女A」などの楽曲が流れた。中でも「GAME」が光ったときにボタンを押せば「2R目以降は、楽曲とビデオも流れるようになっていました」(関係者)。

ちなみに、CR機への明菜登場は構想から3年がかりだった。「タイミングを図りたい」という明菜側の要望もあり、なかなか実現しなかったといわれる。それだけにCR機のキャラクターへの起用が正式発表された際は「今回、レコーディングした新曲『GAME』は、軽快なアップテンポのナンバー。CR機『歌姫伝説』の楽しみ方を広げることができたらうれしいです」と喜びを語っていた。

一方、この年は山口百恵の「いい日旅立ち」を初めてカバーしただけでなく、矢沢永吉の名曲「チャイナタウン」にも挑んだ。

明菜は25周年のファイナル企画として翌07年1月17日にカバー・アルバム「歌姫ベスト~25th Anniversary Selection」を発売したが、その中に「チャイナタウン」を盛り込みたかったのだ。業界関係者がいう。

「明菜はデビュー前から矢沢の大ファンを公言していましたからね。ただ、当時は矢沢の作品を他のアーティスト、それも女性がカバーしてCD化するなんてことはあり得ませんでした。しかも『チャイナタウン』は矢沢自身が誇る伝説的名曲。そんな曲を『カバーしたい』と言い出したわけです」

実は、明菜側が矢沢側にカバーしたい旨を打診したのは5年前だったが矢沢側から色よい返事がなかった。「明菜に限らず、矢沢は自らの作品をカバーされることに抵抗があったようですね」(前出の音楽関係者)

ところがアルバムのレコーディングの終盤近くになった頃だった。「矢沢さんからOKが出たのです。まさに粘り勝ちでしたね」(関係者)

交渉から5年。明菜の25周年の総決算ともいうべきアルバムに間に合ったわけだ。「ボーカリストとしての明菜が作品を歌い継いでいくことも重要。そういった意味で明菜ならではの企画となりました」 (芸能ジャーナリスト・渡邉裕二)

■中森明菜(なかもり・あきな) 1965年7月13日生まれ、東京都出身。81年、日本テレビ系のオーディション番組「スター誕生!」で合格し、82年5月1日、シングル「スローモーション」でデビュー。「少女A」「禁区」「北ウイング」「飾りじゃないのよ涙は」「DESIRE―情熱―」などヒット曲多数。NHK紅白歌合戦には8回出場。85、86年には2年連続で日本レコード大賞を受賞している。

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