ロッテからポスティングで米大リーグへ挑戦することが決まった佐々木朗希投手(23)。早くもメジャー各球団が争奪戦を繰り広げる人気となっている。一方、国内では、ポスティング容認をめぐるロッテ側との交渉が難航したこともあり、やや孤立したイメージがあることも否めない。移籍前にファンに丁寧な説明をし、「脱ヒール」を遂げてから海を渡りたい意向だ。
ロッテへの入団時から将来的な大リーグ挑戦を訴えてきた佐々木は、昨オフもポスティング移籍を強く求めたとされており、契約更改が今春のキャンプイン直前まで時間を要すほど球団側と激しい攻防を繰り広げた。
さらに、日本プロ野球選手会を昨年のシーズン前に退会。加入は任意だが、若手選手が退会することは異例だった。
プロ5年目の今季は自身初の10勝を挙げ、クライマックスシリーズ(CS)初勝利を収めるなどチームに対する一定の貢献は果たしたが、ドジャースの大谷翔平(30)、山本由伸投手(26)のようなぶっちぎりの成績ではないためまだ逆風は止んでいない。
そこで浮上したのがファンへのみそぎを済ませて夢に挑戦するプランだ。
佐々木は今月17日にZOZOマリンスタジアムで開催されるファン感謝祭に出席する予定。選手が「TEAM WHITE」と「TEAM BLACK」に分かれてイベントで対決するのが見どころだが、佐々木は益田、松川、安田らとともに「TEAM BLACK」の一員として参加し、イベントの合間にはスタンドに駆けつけたファンの前でメジャー挑戦について自ら語る機会が設けられる予定だという。
球団関係者は「トラブルが多い印象のままチームを去るよりもしっかり自分の言葉でメジャーへの思いや覚悟をファンに直接語りかける方がファンの心に響く」と佐々木の立場を尊重し、佐々木がファンの理解を得られる対応を見せることに期待を寄せる。
25歳未満でのメジャー移籍は年俸が低く抑えられるが、スポンサー収入は制約を受けない。大谷と同じ道筋だが、大谷は世界的な優良企業からの契約オファーが殺到し、年俸は低くても十分な収入がある状態となった。
佐々木もこの大谷スタイルが理想だが、先のイメージのままではクライアント側が二の足を踏みかねない。広告代理店関係者も「日本を発つ前にモヤモヤした印象をスッキリさせた方がいい」と勧める。
佐々木の将来性はすでにメジャー各球団から高く評価されている。すべてはメジャーへの強い思いから端を発した軋轢ともいえるので、しっかりとした本人からの説明があればファンの理解は得られるはずだ。イメージアップを経てメジャーで活躍する一流選手の階段を登りたい。 (山戸英州)