証券ライター また、外国為替市場で円高が進行している。先週は、1ドル=140円台をつける場面があった。
証券アナリスト そのせいで、9月上旬に3万9000円台を回復していた日経平均が、先週は3万5000円台前半まで売りたたかれた。
ライター 日銀が政策金利を引き上げ、日経平均が大暴落した8月5日は141円台半ばだったから、それを上回る円高になったというわけだ。
アナリスト 7月の161円台から約2カ月で一気に140円台まで動いたから、急激な円高と言われているけど、チャートを見ると年初の水準に戻ったに過ぎない。年初の日経平均は3万3000円台だった。
ライター 確かに年初からの株高・円安(ドル高)はスピード違反的な動きだった。
アナリスト 株も為替のマーケットも今やコンピューター取引が盛んで、どうしても一方向に動きやすい。人間が行うトレードなら売られ過ぎや買われ過ぎで手仕舞うところを容赦なく売りたたいたりするからな。8月の日経平均4451円安がいい例だ。
ライター ここからの為替相場はどう見てる?
アナリスト ドル/円相場に関しては、円高傾向が続くと見ている。今週行われているFOMC(米連邦公開市場委員会)で米国が利下げに踏み切るのは間違いないだろうし、日本は段階的に追加利上げに向かう。日米の金利差が縮小するから、円高に動くはずだ。
ライター ただ、8月の株価大暴落で、日銀も利上げには神経質になっているんじゃないか?
アナリスト それはそうなんだけど、引き上げたといっても日本の政策金利はいまだ0・25%だ。すでに日銀の審議委員が「2026年度までに1%程度に引き上げておくことが適切」とアナウンスしている。
ライター 日米の政策金利もそうだけど、今年は米国大統領選挙や自民党総裁選もあるから、株式市場は忙しそうだ。先日の米国大統領選挙のテレビ討論会ではハリス氏有利の評価だったけど、株式市場はトランプ氏のほうが歓迎されるんじゃないか?
アナリスト 「トランプラリー」なんて言葉もあるしな。ただ、どっちが大統領になっても、短期的にはご祝儀で上がると見ている。
ライター 株式市場は不透明要因を嫌うから、大統領が決まるまでは乱高下が続きそうだな。
アナリスト その通りだ。営業サイドの話では、信用取引で含み損を抱えた個人投資家はまだたくさんいるようで、特にアドバンテストなどの半導体大手を持ったままだという。そういう銘柄は、戻り売り圧力が大きいから、どうしても上値が重くなってしまう。
ライター じっくりと腰を据えて投資できる環境はまだ先というわけか。