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ニュース裏表 平井文夫 小泉進次郎氏が「選択的夫婦別姓を1年以内に導入する」発言 自民党は壊しても日本は壊すな ポピュリズム政策論争はダメ

zakzak by夕刊フジ 2024年9月12日 6時30分

自民党総裁選(12日告示、27日投開票)は政策論争が事実上始まっているのだが、一つ困ったことが起きている。それは各候補が議員にではなく、国民に対して「ウケ」のいいことを言う傾向が強まっているということだ。

例えば、石破茂元幹事長が裏金で処分を受けた安倍派の議員に対して「選挙での非公認」を示唆したのは、まさに「議員向け」でなく「国民向け」の発言だ。

これをやると数十人の現職議員が無所属で出なければならず、党内からは怒りの声が噴出したが国民は喜んだ。石破氏の作戦はうまくいったのだ。

今回は派閥が解散したため締め付けがなくなり、岸田文雄首相が閣僚に対しても「気兼ねなく出てほしい」と伝えたため、史上最多の10人近くが立候補するとみられる。

例えば、10人出ると367の議員票のうち、本人を含めた210票が確定し、残りは157票しかない。従って、367ある党員票が大きなウエートを占める、いや党員投票によって勝負が決まることになってしまった。

長い総裁選の歴史で、党員票で勝負が決まったのは一度だけ。2001年に小泉純一郎元首相が勝ったときだ。今回も党員票、すなわち「人気」で総裁が決まる。候補者が多すぎるとこうなってしまう。

ところで、石破氏が「金融所得課税の強化」を打ち出したのは失敗だった。他の候補から「貯蓄から投資への流れに水を差す」と袋だたきにあったのだ。

石破氏としては、「一部のお金持ちに対する金融課税が低いのはケシカラン」という話にしたかったのだが、他の候補は石破氏に「新NISA(少額投資非課税制度)などの庶民の投資を妨害するヒト」というレッテルを貼ったわけだ。

党員票に強い石破氏と小泉進次郎元環境相の失言をみんなが待っている。自分が2位に食い込んで決選投票に残りたいからだ。

茂木敏充幹事長が「防衛増税の停止」と「政策活動費の廃止」を主張したのにも驚いた。政権ナンバー2の幹事長として首相と二人三脚でつくり上げてきた政策を簡単に否定していいのかと。党内では批判も多いが、国民ウケは大変良い。これは茂木氏の「打ち出し」がうまかった。

ここまではまだいいとして、小泉氏が「選択的夫婦別姓を1年以内に導入する」と言ったのには参った。家族のあり方を変えかねず、いくらなんでも拙速だ。日本をぶっ壊す気か。

父の純一郎氏は「自民党をぶっ壊す」と言って党員票で総裁選に勝った。息子の進次郎氏も自民党をぶっ壊すくらいは全然構わないが、日本をぶっ壊すのはやめてほしい。政策論争が「ポピュリズム合戦」になってはいけない。これすべて、派閥を解散し、「誰でも総裁選に出ろ」と言った岸田首相が悪いのだが。 (フジテレビ客員解説委員・平井文夫)

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