巨人は12日の広島戦（マツダ）に5―0で快勝し、首位攻防3連戦で3タテ。阿部慎之助監督（45）が次々と繰り出す勝負手がことごとく的中し、このカードの前まで今季わずか1勝（4敗1分け）の〝鬼門〟で、優勝した2020年以来4年ぶりのスイープ。早ければ13日にも優勝マジック「12」が点灯する。
この試合で満員のスタンドが大きくどよめいたのが、8回2死一、二塁で末包を迎えた場面でバルドナードに代えて守護神の大勢を投入した場面。右腕はこのピンチを投ゴロに抑えて切り抜けると、9回も続投し、3人でピシャリ。今季初となる回またぎも難なく抑えきった。
阿部監督は「試合中には『回またぎもあるよ』と伝えていた。昨日の試合を見て、1つの四球が致命傷になることもある」と事もなげ。前日11日の同カードでは相手守護神の栗林が四球をきっかけに6失点の大乱調。逆転勝ちを拾っていただけに同じ轍を踏まない意思を滲ませた。
腹を括った勝負手がピタリ、ピタリとはまる。この3連戦から「困ったときはベテラン」と坂本を6月以来となる2番打者に据え、初戦の先制弾など3戦連続のマルチ安打。2回2死三塁の守備では8番菊池を申告敬遠して投手の床田との勝負を選択し、無失点で切り抜けた。7回1死一、三塁では2安打の坂本に、この日4カ月ぶりのスタメン落ちとなった丸を代走に起用。丸を試合に残していたことで9回にリードを5点に広げる2点本塁打が生まれている。
そもそも、このカードに合わせて勝ち頭の菅野のローテーションをずらし、この日先発の戸郷も前回登板を中4日に縮めており、照準は苦手とする敵地での天王山に合わせていた。指揮官はダブルエースを投入して、何が何でも勝ちに行く姿勢を明確に打ち出し、最高の結果を導き出した。
この日、25セーブ目を挙げた大勢は「僕も監督の『行くぞ！』っていう気持ちも感じていたんで、その勢いに乗って投げました」。指揮官の肝の据わった采配を意気に感じている。ある選手は「こんなこと、あるんですか。全部ズバズバ当たる。ちょっと怖いくらいですよ」と慄（おのの）いた。
「この3連勝を無駄にすることなく、またその日その日を勝つために頑張りたい」と兜の緒を締めた若き闘将が振るうタクトからも目が離せない。 （片岡将）
■広島―巨人22回戦（巨人11勝8敗3分、18時、マツダスタジアム、2万9966人）
巨 人003000002－5
広 島000000000－0
（勝） 戸郷24試合11勝7敗
（Ｓ） 大勢37試合1勝2敗25S
〔敗〕 床田23試合11勝6敗
（本） 丸12号②（大道）