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日本の解き方 バイデン氏は撤退するのか 討論会で際立つ高齢不安 候補乱立なら共和党有利に…一致団結して若手登用ならトランプ氏苦慮か

zakzak by夕刊フジ 2024年7月5日 11時0分

11月の米大統領選挙に向けた民主党のジョー・バイデン大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領によるテレビ討論会は南部ジョージア州アトランタで6月27日夜(日本時間28日午前)、行われた。討論会はトランプ氏の勝利との見方が多く、米有力紙がバイデン氏に撤退を要求した。今後、候補者が変更することはあり得るのか、トランプ氏側に落とし穴はないのか。

大リーグのドジャース戦中継がなかったので、筆者はこのテレビ討論会をライブで見た。

お世辞にも立派な政策議論が行われたとはいえないが、バイデン氏は討論会で不明瞭な発言を繰り返し、かねてから指摘されていた高齢不安を感じた。生中継していたNHKの解説では五分五分という評価をしていたが、政策議論に中身がなかったために、身振りや話しぶりにバイデン氏の高齢による衰えが誰の目にもわかるように際立っていた。

バイデン氏の振る舞いはこの4年間でかなり老化したのは否めない。ネット上では4年前と現在のスピーチを比較した動画が出ているが、今の言葉の張りや精悍さはかなり劣っていた。案の定、この討論会を放映したCNNの世論調査でも、視聴者の67%がトランプ氏勝利と回答した。米大統領選の前の討論会は、大統領選に大きな影響を与えるとされており、今回の討論会はバイデン陣営にとっては大きな痛手だっただろう。

民主党寄りの論調で知られる米紙ニューヨーク・タイムズは28日、バイデン氏の撤退を求める社説を掲載した。米紙ワシントン・ポストのコラムニストも同日、バイデン氏は撤退すべきだとした。

ただ、バイデン氏は立候補に意欲を燃やしており、実際には「バイデン降ろし」のハードルは高い。民主党候補を選ぶ予備選はすでに終了し、バイデン氏の指名は既に確定している。同党の規則では同氏が立候補を断念しない限り、代議員はバイデン氏に投票する義務がある。

民主党は8月19~22日の党大会の前にオンライン経由でバイデン氏を党候補に正式指名する予定となっている。

ただし、バイデン氏が健康問題などを理由として立候補を辞退すれば話は別だ。次の討論会は、9月10日にテレビ局のABCが主催して行われる予定だ。その前に民主党党大会が行われる事を考慮すれば、7月いっぱいでバイデン氏が辞退し、新たな候補者を立てなければいけない。

一部ではミシェル・オバマ氏らの名前があがるが、民主党内に衆目が一致する候補は見当たらず、候補者乱立で民主党内が分裂して、共和党を利することになるかもしれない。

ただし、民主党が一致団結して、バイデン氏に代わる若い候補者を出せれば、今度は高齢問題がトランプ氏にかかってくる。そうなると、トランプ氏は、高齢問題と有罪評決問題で苦慮するかもしれない。

民主党は7月の間に新しい候補者を出せるかどうかにかかっている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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