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肉道場入門! 内臓肉の深い味わいを堪能できる〝ガチ〟中華「牛雑麺」の楽しみ 麺に悩み、具の肉を選び、トッピングに迷うのも楽しい

zakzak by夕刊フジ 2024年10月1日 6時30分

★絶品必食編

現地の言葉が飛び交い、現地スタイルの料理が提供される〝ガチ〟な現地料理の飲食店はおなじみになったが、なじみの薄いメニューもまだある。

例えば中国の「牛雑麺」(ガチ店のメニューでは簡体字)。メニュー名から内容がわかる人は相当のガチ中華通に違いない。

牛の内臓肉を使った麺だ。最近よく見かける、蘭州牛肉麺や蘭州拉麺など〝蘭州系〟の麺店で時折見かける、内臓肉を使った汁麺である。

明治時代以降、日本人にとっても牛の内臓肉は、煮込みや牛めしの具などに象徴されるように庶民の外食として広まった。

海外でも内臓肉は煮込み料理が多い。長時間加熱することで内臓肉の繊維をやわらかく食べる工夫がなされたのだ。

独特の匂いについては茹でこぼす、味噌などの発酵調味料を使うなどの工夫がされてきた。

洋の東西を問わず使われてきたのが、香味野菜――ハーブを使った香りの調合だ。

クセの強い肉に対してスパイスやハーブを使うとき、「臭み消し」というニュアンスで語られることが多い。確かに中国でも「牛雑麺」の味つけに「麻辣」が使われたりもする。しびれる花椒の〝麻〟と舌を刺す辛味の〝辣〟を使った「麻辣牛雑麺」のような仕立てだと、そのニュアンスでもいいだろう。

だが、スープで炊いた淡い味の内臓肉から漂う、少し蒸れたような内臓らしい香りを「臭み」と呼ぶのは忍びない。

この香りに対しては、ぜひ(苦手でない人は)パクチーのトッピングを追加していただきたい。もともと蘭州系の麺には盛り込まれているが、清涼な香りが増量されることで、内臓肉の深い味わいをより堪能できる。

パクチーが苦手な方は葉ニンニクを追うのもいい。あっさりした印象の内臓肉の奥からパワフルな味わいが顔を出す。

そして肉を中心に書いてきたが、蘭州拉麺といえば忘れてはならないのが麺の選択だ。最初の注文時に、平打ち麺も含めて細麺から極太麺まで8~10種の麺から選ぶ必要がある。

ちなみに僕がよく選ぶのは「韭叶子」。パスタで言うリングイネのような少し平たい、食感の楽しい麺だ。

麺に悩み、具の肉を選び、トッピングに迷う。それもまた楽しい。

■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

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