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ニュース裏表 安積明子 石破自民党、衆院選〝ドラスチックな敗北〟の可能性 街頭演説で見当たらないユーチューバーたち 民意は「お仕置き」では済ませない?

zakzak by夕刊フジ 2024年10月16日 6時30分

第50回衆院選が15日に公示された。この直前の13日、石破茂首相(自民党総裁)は埼玉14区と東京29区で街頭演説を行った。埼玉14区は友党・公明党の石井啓一代表が、東京29区には同じく岡本三成政調会長が出馬する。

岡本氏が街頭演説したJR日暮里駅(東京都荒川区)を訪ねると、駅前のロータリーは聴衆で埋め尽くされ、街宣車上の石破首相らの姿を遠巻きに確認するのはほぼ不可能だった。スピーカーの声が聞き取りにくいほどだ。

岡本氏の支持者と思われる年配女性の姿が目立った。石破首相は上機嫌で、「この荒川区、日暮里。これから発展していく、原動力となるのが岡本三成さんです」と持ち上げ、拍手を浴びていた。

だが、気になることがあった。選挙関連の動画を配信するユーチューバーの姿が、演説会場に見当たらなかった点だ。7月の東京都知事選で2位に躍進した石丸伸二氏の〝フィーバー〟を例に出すまでもなく、ネット配信は今や政治に大きな影響力を持つ。

ユーチューバーは、配信で得られる広告収入や課金が目的の場合も少なくない。近年では、候補者の街宣活動などを大声を張り上げて批判する〝アンチ〟と、陣営のトラブルも目立つ。これは動画の素材として重宝されるようだ。

かつて安倍晋三元首相が選挙演説すると、「『アベ政治』を許さない」などと書いたプラカードを掲げてヤジを飛ばす人々と、防ごうとする自民党スタッフらの〝攻防戦〟がたびたび見られた。だが、岡本氏の演説会場では、ユーチューバーも、アンチも見かけなかった。

派閥パーティー収入裏金事件や、旧統一教会の問題など、自民党への批判材料は事欠かない。今回の衆院選で、旧安倍派議員ら12人を「非公認」とするなどしたが、国民は納得したのか。いや、そうとはいえないだろう。

共同通信が12、13両日に行った世論調査で、石破内閣の支持率は42%となった。調査規模が異なり単純比較はできないが、発足直後の1、2両日の調査と比べ、8・7ポイント減と大幅下落した。

投票先を決める際、裏金事件を「考慮する」との回答が、「ある程度」も含めて計65・2%にのぼった。非公認の対応は「不十分だと思う」は実に71・6%だった。

「内閣支持率が下がらないうちに衆院を解散してしまえ」という自民党の思惑は、裏切られたのかもしれない。

石破首相は勝敗ラインを「自公で過半数」としたが、政権交代が起こった1993年や2009年より、ドラスチックな事態に直面するかもしれない。「お灸をすえる」程度ではすまなくなったかもしれない民意を、石破自民党はどう受け止めるのか。 (政治ジャーナリスト・安積明子)

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