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列島エイリアンズ 訪日ロシア人爆買い編(1)直行便なき現状での怪現象 国籍別の1人当たりの旅行支出増加 目当てはゲーム機、スマホ、PC

zakzak by夕刊フジ 2025年1月22日 6時30分

日本政府観光局によると、昨年1年間の訪日外客数は3686万9900人で、コロナ前の2019年の3188万人を上回り、過去最高を更新した。

さらに観光庁が発表した昨年1年間の訪日外国人による消費額は8兆1395億円、1人当たりの旅行支出は22万7000円と、それぞれ過去最高を記録。インバウンドブームが過去最大のものになるであろうことは、かねてから広く予想されており、驚きはない。だが、そのなかで筆者はあるデータに注目した。

国籍別の訪日外客数でロシアは9万9300人で、21位と決して上位ではない。ところが、前年比では136・6%増で、主要国としては1位の中国(188%増)に続いている。

国籍別の1人当たりの旅行支出をみると、32万5538円のロシアは主要国で8位につけており、前年比の伸率では25・8%増と1位だ。これは2位に付けた英国の16・9%増と比べても大幅な増え方である。

ウクライナ侵攻勃発以降、日本とロシアの直行便はすべてストップしており、両国間の貿易をはじめとするビジネス上の交流も停滞しているはずである。しかし、その一方で、ロシアからの訪日客は急増しており、盛んに消費をしているようなのだ。

インバウンド取材時に筆者がネタ元として頼っている大手家電量販店の販売員も、ロシア人の旺盛な購買意欲をこう明かしてくれた。

「免税手続きの際に出してもらうパスポートを見る限り、ロシア人への売り上げはかなりのウエートを占めている。特にゲーム機やスマートフォン、PCなどの購入が多いです。転売ヤーというほどではありませんが、同じ高額商品を2つ、3つ買うのもロシア人のお客さんの特徴です」

彼らの購買意欲の原動力は何なのか、なぜ彼らは日本を目指すのか。次回、考察したい。

=つづく

外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。新著「転売ヤー 闇の経済学」(新潮社)=写真=が話題。

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