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日本の解き方 阪神淡路大震災30年と次の災害 どこで発生してもおかしくない、高速道路網の完成を急げ あまりにしょぼい石破首相の発想

zakzak by夕刊フジ 2025年1月18日 15時0分

1月17日で阪神淡路大震災から30年となった。日本の震災対応は改善してきたのか。今後の大災害への備えはどうすべきなのか。

振り返ってみると、もう30年もたったのかと思わざるを得ない。筆者の役人人生で、金融機関の不良債権処理に奔走した後、財政投融資改革もやってくれと言われたりした多忙な時だった。筆者なりに、阪神淡路大震災に遭遇した知人に連絡すると、震災時に寝ていたが、目が覚めると目の前でテレビが宙を飛んでいたという。

気象庁の震度データベースなどで1919年以降、震度7クラスを記録したものを調べると、23年9月1日の関東大震災(当時首相は不在)、95年1月17日の阪神淡路大震災(村山富市首相)、2004年10月23日の新潟県中越地震(小泉純一郎首相)、11年3月11日の東日本大震災(菅直人首相)、16年4月14、16日の熊本地震(安倍晋三首相)、18年9月6日の北海道胆振東部地震(同)、24年1月1日の能登半島地震(岸田文雄首相)が起こっている。

1995年の阪神淡路大震災以降、やや頻繁に大震災が起きている。その間隔も、9年10カ月、6年5カ月、5年1カ月、2年5カ月、5年4カ月と、数年に一度の頻度で日本のどこかで起こっている。

1995年の阪神淡路大震災では、自衛隊への出動要請に手間取ったが、今では一定の震度以上の震災になると、半ば自動的に自衛隊が出動するようになっている。これは改善点だ。

自然災害は忘れたころに必ずやってくるというが、最近の震災頻度から、まだ「覚えているうち」にやってきている。

近未来に予測される自然災害として首都直下と南海トラフ巨大地震がある。

政府は、首都直下地震と南海トラフ巨大地震それぞれについて、今後30年以内に起こる確率は70%、80%程度と見込んでいる。それぞれの被害額について、100兆円、200兆円以上になるとしている。ただし、この被害額については、道路や建物など建築物を中心としているので、さらに膨らむという民間試算もある。

最近、この確率について、政治的に高めに設定されたのではないかということが話題になっている。たしかに、昨年1月の能登半島地震はあまり地震確率が高くなかった地域だ。はっきりいえば、地域によって発生確率の差を設けることにどこまで意味があるのか。日本列島では多少の確率の差はあっても、どこでも近い将来に巨大地震が発生すると考えたほうがいい。

石破茂首相は「地方創生」を唱えるが、省庁移転などあまりに発想がしょぼい。「令和の日本列島改造」というなら、さらに大きな構想が必要だ。

これまでの列島改造では、全国高速道路ネットワークが完結しておらず未整備なところがある。まずはそれを完成させる方がマイナーな省庁移転より先だろう。能登半島地震でも、高速道路が半島の先まで整備されていたら、復旧は容易だったはずだ。本物の列島改造なら、日本のどこでも起こりうる震災対策になる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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