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これぞマツケン時代劇だ!! 殿さまイメージ強い松平健が「遠山の金さん」で見せたいなせな町人姿 第1話では「桜吹雪は見せずに裁きをしたい」

zakzak by夕刊フジ 2024年7月6日 15時0分

松平健といえば、徳川吉宗はじめ、殿さまイメージが強いが、いなせな町人姿を見せたのが、「遠山の金さん」(2007年、テレビ朝日系)だった。

金さんは町人の姿だが、実は北町奉行遠山左衛門尉。町で事件を探索し、悪人たちを背中の桜吹雪の彫り物を見せてやっつける。そして、お白洲でしぶとくシラをきる悪人に怒った遠山は、お堅い奉行の姿から一転、べらんめえ口調になり、桜吹雪を見せつけ、自ら生き証人となって悪を裁く。奉行と金さん、変身の瞬間とキレのいいたんかは「待ってました!」の名場面だ。

これまで、テレビ朝日系では中村梅之助、市川段四郎、橋幸夫、杉良太郎、高橋英樹、松方弘樹が演じていて、松平健は「7人目の金さん」と言われた。7人目の特徴は、金さんが遊び人ではなく、怪しいとにらんだ店などに大工、板前、用心棒などにふんして自ら潜入捜査をすること。いわば「ミッションインポッシブル金さん」だ。

第1話では船頭にふんして、悪事に巻き込まれた女おしの(若村麻由美)を助ける。なお、お白洲でも乱暴な言葉を使わず、「できれば若気の至りで入れた桜吹雪は見せずに裁きをしたい」というのが、この金さんのスタンス。その桜吹雪に使われる桜色は、現代的な濃いめのピンク系でインパクトは歴代一番だった。番組PRポスターも花を得意とする蜷川実花が撮った。ちょっとアートな金さんでもある。

思えば、松平健キャリア50年の時代劇デビュー作は恩師・勝新太郎の「座頭市物語」で、役柄は庄屋の息子。以後、将軍や剣豪などを演じ、ここでは名奉行に。

その後、池波正太郎原作の「鬼平犯科帳スペシャル 盗賊婚礼」では盗賊、ドラマ「顔」では殺し屋となり、捕まる側にもなった。「小河ドラマ徳川☆家康」では、家康を演じることになったところに本物の家康がタイムスリップしてきて困惑する名優役。コメディーでも大いに笑わせてくれている。

現代劇も多いが、時代劇でも二枚目はもちろん、剣の大先生、忍びの頭領、大親分、影の大物など、今後も、どんどん引き出しを増やしてもらいたい。楽しみにしてます。オーレ!! =おわり(時代劇研究家・ペリー荻野)

【次週は「あなたも物語の一員に?! イマーシブ(体験型)演劇最前線」です】

■松平健(まつだいら・けん) 俳優、歌手。1953年11月28日、70歳。愛知県出身。勝新太郎の付き人を経験する傍ら、75年に勝主演の「座頭市物語」に出演。78年に「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系)の主役徳川吉宗に抜擢される。2004年、「マツケンサンバⅡ」がヒットし、同年の「第55回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。

「遠山の金さん」 07年1月16日~年3月20日にテレビ朝日系で放送。

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