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カワノアユミの盛り場より愛を込めて タイと日本に見る「夜の店の流行」 バーとは名ばかり…急速に拡大するパタヤの「バービア」と日本の「コンカフェ」

zakzak by夕刊フジ 2024年8月15日 15時30分

先月から再び、タイのパタヤに短期滞在している。パタヤはタイの中でもナイトライフのメッカとして知られている人気リゾート地だが、今回はタイと日本に見る「夜の店の流行」について取り上げてみたい。

まず、タイから見ると、近年のパタヤの歓楽街でも目立つのが、バービア(タイの格安ビールバー)の急増だ。

私はコロナ禍の水際対策が緩和された2020年末にパタヤを再訪した。まだ、バービアが立ち並ぶエリアに入るにも抗体検査を受けなければならなかった頃で、コロナ禍で閉鎖を余儀なくされ、そのまま閉店した古くからのバービアも多かった。ガラガラで寂しい旧バービア通りを見て物悲しい気持ちにもなったが、同時にすぐ近くでは新しいバービア群もオープンを始めていた。

あれから4年。パタヤのバービア群は現在も拡大を続けている。今では中心地のセントラルエリアだけでも数百店舗のバービアが存在する。コロナ禍中はゴーゴーバーなどの屋内の飲み屋は感染対策で休業となり、屋外のバービアのみが営業を許可された。これがバービアが過剰に作られる要因となった。

通常、同じ形態の店が増えすぎると価格合戦が起こるものである。しかし、パタヤのバービアは、バーとは名ばかりで実際には女性スタッフと交渉し、外に連れ出して遊ぶのが一般的だ。そのため、どこもドリンクの価格は安いままで、連れ出し料だけが現在の物価高の波を受けて高騰している。今では日本の性サービス店の方がレベルも高くて安いと言われるほど。これでは、客が来なくなっても無理はない。

一方、風俗店ではないが、日本でも店の形態で顕著な流行は見られている。その一例がコスプレをした女の子が売りの「コンセプトカフェ(コンカフェ)」だ。メイドカフェやコンカフェは05年頃の東京・秋葉原が発祥とされ、11年には秋葉原中心部に約60店あったが、24年現在は秋葉原だけで400店近くのコンカフェが乱立している。

日本の萌え文化を象徴するコンカフェだが、実際には観光客が多く、リピーターは意外に少ないと言われている。また、特に普段キャバクラなどで飲んでいた年配者からは「コンカフェ特有のカウンターチェアは座り心地が悪い」といった声も聞かれる。現在の経済状況などを受け、値上げする店も増えているようだが、それでもはやりというだけでここまで店数が急増する現象は珍しい。

日本のコンカフェにせよ、パタヤのバービアにせよ、流行はどこまで続くのか? 今後の動向が気になるばかりだ。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。X(旧Twitter):https://x.com/ayumikawano/

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