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2024 クローズアップ 小野花梨 他人を大切に思う〝心〟を紡ぐ…人間界に降り立った死神に惹かれるヒロイン熱演 その素顔はミステリアスな女優

zakzak by夕刊フジ 2024年11月6日 6時30分

フジ「スノードロップの初恋」=カンテレ系・火曜夜11時

子役からキャリアを重ね、作品によってまったく違う印象を残し、唯一無二の存在感を放つ女優の小野花梨。SNSをやらず、自らの情報をいっさい発信していないこともあり、その素顔はミステリアスだ。

「悪役を演じているときは世間に嫌われることもありがたいと思いますし、いい役をやらせていただけたら、そのときに好感を持ってもらえればラッキーかなって。SNSも、私の食べたご飯に人様は興味がないだろうな、と(笑)」

フランクさと同時に、時代に流されることなく、自分の中にしっかりとした軸を持っている。監督たちからも、今もっとも一緒に仕事したい女優といわれている26歳だ。そんな小野が新たな魅力を発揮しているのが、火ドラ★イレブン「スノードロップの初恋」。幸せの味を求めて、初めて人間界に降り立った死神の片岡朔弥(宮世琉弥)と、人に尽くしてばかりの人生を送ってきた女性のラブストーリーだ。小野が演じているのは、レストランチェーンの経理部で働く望月奈雪。幼くして両親が離婚し、ともに暮らしていた父親が他界してからは、弟の陸(岩瀬洋志)を育てるために、自分の夢も自分を愛することも忘れてしまったというヒロインだ。

「ファンタジー色が強いキャラクターもいる中で、奈雪は視聴者の方にもっとも共感していただける女性なのかなと思っているので、素直な感情表現を忘れないように意識しています。ただ、〝自分を愛することを忘れてしまった〟という部分は、強調しないようにしました。なぜなら、みんな誰かのために生きていませんか? 自分を大切にできるのはもちろんいいことですけど、自分と同じくらい他人を大切に思えるって素敵だなと思ったんです。だから、朔弥さんに出会う前の奈雪の人生を悲劇にはしたくありませんでした」

弱音を吐けず、無理してでも頑張ってしまう奈雪だったが、朔弥から「大丈夫じゃないなら、正直にそういえばいい」「君は頑張っている」とまっすぐな言葉をかけられたことで、頑張りすぎていた自分に気づき、徐々に心が変化していく。

「大人になればなるほど頑張ることは当たり前になるけれど、やさしい言葉をかけてもらったり、努力を認めてもらったりすると安心しますよね。表面的に大きく変わることはなくても、『もう頑張れないかもしれない』という心が、『もうちょっと頑張ってみよう』に変わる。私も、たくさんの方にやさしい声をかけていただいて、今ここにいると思っています。だから、奈雪の気持ちはとても理解できます」

今やオファーが絶えない人気者になった小野だが、その道のりは決して平たんではなかっただろう。それでも、自分から女優を辞めようと思ったことはないという。

「求められなければ成立しない仕事なので、辞めようではなく、続けさせてもらえなかもしれないという時期はありました。お仕事がまったくないこともありましたし、今後だってどうなるかわかりません。手放しに楽しい仕事だとも言えないけど、大変さや苦しさが楽しくないかと問われたら、それも否定できない。ただ、たくさんの方にお会いして、いろいろなことを教えていただけるのは、とてもありがたいことで、この仕事の特権かもしれません。すぐにとは言えませんが、自分もいつか誰かのプラスになるようなものを渡せる人間になれるように頑張っていこうと思います」

奈雪との交流の中で〝愛〟という感情を知っていく朔弥。死神と知らず朔弥に惹かれていく奈雪。そして、12月25日に命が尽きてしまう奈雪の運命…。このファンタジーを小野はどう成立させるのか。期待は高まるばかりだ。 (出口恭子)

■小野花梨(おの・かりん) 東京都出身。幼少時から劇団に入り、2006年、ドラマ「嫌われ松子の一生」でデビュー。21年、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」で注目される。22年、映画「ハケンアニメ!」で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な作品は、ドラマ「鈴木先生」「罠の戦争」「初恋、ざらり」「グレイトギフト」「お別れホスピタル」、映画「Gメン」「52ヘルツのクジラたち」「ミッシング」、舞台「青空は後悔の証し」、ラジオ「おしゃべりな古典教室」など。来年の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」に出演予定。

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