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列島エイリアンズ ヤミ民泊編(2)疑惑に対し「晴海フラッグ」短期賃貸と言い張る在日中国人のW氏 「親戚泊めた」といくらでも言い訳可能

zakzak by夕刊フジ 2024年7月10日 11時0分

東京都中央区にある元五輪選手村「晴海フラッグ」周辺で、何者かが設置したとみられる複数のキーボックスが発見されたことから浮上したヤミ民泊疑惑。中央区は、民泊関連の規制が厳しいことで知られるが、在日中国人のW氏は、晴海フラッグに保有する60平方メートルの部屋を1泊あたり約3万円で第三者に貸し出している。それも複数日、連泊などで、だ。

W氏は「貸出期間は最低2週間の不動産賃貸」だとして、中央区の民泊規制として定められた「土曜日正午から月曜日の正午まで」の対象外だと強弁する。

同区の民泊規制に、こうした都合の良い解釈がまかり通ってしまうスキマが存在することは前回お伝えしたとおりだ。

全国の複数の自治体のホームページなどで確認する限り、「借家期間が1カ月未満の場合は不動産賃貸に該当せず、『民泊』か『旅館業登録』が必要」といった説明が散見される。もっとも、これは法律で定められているものではない。

筆者が複数の自治体に「1カ月」の根拠について尋ねたところ、いずれからも「厚労省が各自治体に向けて行った事務連絡」という共通した回答が返ってきた。

厚生労働省が2020年10月に行った事務連絡に、旅館業、貸室業を区別する目安期間として「望ましい期間は1カ月と考えています」と記述されているのを根拠にしている。法的効力を伴わないガイドラインのようなものだ。「1カ月未満の借家は旅館業登録が必要」といった条例をしっかり制定している自治体は別として、借家期間の短さのみでヤミ民泊を摘発することは難しいのが現状だ。

それはそうと、W氏はなぜ一般的な賃貸ではなく、グレーな貸借にこだわるのだろうか。

「売却益にかかる税率が安くなるので5年以上は今の物件を保有するつもりだが、それまでに不動産価格が下落するような兆候が出てきたら、できるだけ早く売却したいと思っている。しかし日本の法律だと、賃貸契約を結んだ場合、入居者を家主の好きな時に追い出すことができない。それに、購入のために借り入れた住宅ローンの契約上、賃貸に出して収益を得ることは禁止されている。中国のSNSを介した短期貸借なら『親戚を泊めていただけ』と言い訳もできる」

モラルの問題を別にすれば、W氏の選択は理にかなっているといえなくもない。 =つづく

■外国人材の受け入れ拡大や訪日旅行ブームにより、急速に多国籍化が進むニッポン。外国人犯罪が増加する一方で、排外的な言説の横行など種々の摩擦も起きている。「多文化共生」は聞くも白々しく、欧米の移民国家のように「人種のるつぼ」の形成に向かう様子もない。むしろ日本の中に出自ごとの「異邦」が無数に形成され、それぞれがその境界の中で生きているイメージだ。しかしそれは日本人も同じこと。境界の向こうでは、われわれもまた異邦人(エイリアンズ)なのだ。

■奥窪優木(おくくぼ・ゆうき) 1980年、愛媛県出身。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国で現地取材。2008年に帰国後、「国家の政策や国際的事象が、末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに取材活動。16年「週刊SPA!」で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論され、健康保険法等の改正につながった。著書に「ルポ 新型コロナ詐欺」(扶桑社)など。

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