石破茂首相は11日、AI(人工知能)や半導体分野への大規模な公的支援「AI・半導体産業強化フレーム」という新しい枠組みを打ち出した。2030年までの7年間で10兆円以上を支援するという。半導体に関しては、すでに岸田内閣時に3年間で約4兆円の支援枠が設定されてはいたが、今回の新たな枠組みでも思惑が生まれそうだ。
石破首相は台湾の半導体大手TSMCが熊本県に工場を新設したことで、さまざまな経済効果が発生していることについて「地方創生の好例」と発言。同様の効果を期待していることは明らかである。
支援枠に関して石破首相が意識していると目されるのが、日本の半導体メーカー、ラピダス。同社は北海道千歳市に5兆円を投じ、先端半導体の研究開発や生産計画を進行中で、九州の半導体バブルに似た現象が北海道で生じる可能性がある。広島では米半導体大手や日本のディスコが工場建設を進めており、やはり似たような効果が期待できそうだ。
そこで、今回は半導体関連投資による経済への波及効果が想定される北海道と広島で、景気拡大の恩恵を受ける10万円株をピックアップした。
まずは、「土屋ホールディングス」(1840)。北海道地盤のハウスメーカーで、道内の事業が売上高の過半を占める。ラピダスはすでに北海道で人材を集めているほか、道内ではデータセンター(DC)や電力施設の整備も進められており、住宅需要の拡大が続きそうだ。株価が低位で買いやすいのも魅力。2万100円で買える(18日終値ベース、以下同じ)。
続いて、貸出金ベースで北海道トップの「北洋銀行」(8524)。半導体やDC関連など道内でさまざまな事業が始動しており、銀行にとっては明らかなビジネスチャンスだ。14日には、野村証券が目標株価を従来の510円から690円に引き上げた。4万3500円で購入可能。
広島絡みでは、山口県に本社を構える外装リフォーム会社「エムビーエス」(1401)に注目しておきたい。九州地域などにも営業エリアを拡大しており、地方創生や国土強靭化策の恩恵を受けそうだ。最低購入単価は7万7000円。
(吉田礼音)