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これぞマツケン時代劇だ!! 〝忠臣蔵のすべてを知る俳優〟松平健 赤穂方から吉良方まで経験、2004年のドラマではついに大石内蔵助役に

zakzak by夕刊フジ 2024年7月4日 11時0分

日本人にもっとも愛される時代劇「忠臣蔵」は時代劇俳優にとって特別な作品だ。

松平健は「忠臣蔵」作品にとても縁が深い。20代だった1979年の大作ドラマ「赤穂浪士」(テレビ朝日系)で浅野内匠頭も演じ、2004年の「忠臣蔵」(同)では大石内蔵助を演じた。当時、映画やドラマで内匠頭と内蔵助、両方演じられた俳優は片岡千恵蔵、萬屋錦之介に続いて3人目といわれた。

「赤穂浪士」の内蔵助は萬屋錦之介、吉良上野介は小沢栄太郎。萬屋とは初対面で、松の廊下のシーンは緊張したという。映画で内匠頭を演じた経験のある東千代之介から「長烏帽子の下のひもを太めにすると顔がしまってみえるよ」とアドバイスをもらったそうだ。

その後、緒形拳が内蔵助を演じたNHK大河ドラマ「峠の群像」(82年)では赤穂浪士を見守る男の役、五代目・中村勘九郎が内蔵助の「元禄繚乱」(99年)では、吉良方の重要人物・色部又四郎、こうした経験を経て、「忠臣蔵」の大石内蔵助役になった。赤穂方から吉良方まで、「忠臣蔵のすべてを知る俳優」と言ってもいい。

松平内蔵助は、沈思黙考型。静と動を併せ持った人物で耐えるべきときは、とにかく志をひた隠しにして、時を待つ。どんと構えて動かない強さがある。その大石の意思が理解できない行動派の若い浪士たちからは、反発されてしまう。そうした人間関係も見どころとなった。

面白かったのは、吉良上野介を演じた伊東四朗。この上野介は、長身の内匠頭(沢村一樹)を足蹴にするわ、罵倒するわ、〝静の内蔵助〟に対抗するような暴れん坊上野介。討ち入った赤穂浪士に囲まれて、大石に自刃する刀を受け取ると、素直に腹を切るどころか、大石に切りかかるというアクション派だった。

放送開始が10月だったため、撮影は蒸し暑い京都の撮影所で始まった。討ち入りシーンは雪の中。時代劇に不慣れな若い俳優にとって、厚手の衣装を着ての立ち回りは大変だ。

私も現場取材をしたが、誰もかれも汗だくの中、松平内蔵助は後輩を気遣っていた。まさに四十七士のリーダーであった。 (時代劇研究家・ペリー荻野)

■松平健(まつだいら・けん) 俳優、歌手。1953年11月28日、70歳。愛知県出身。勝新太郎の付き人を経験する傍ら、75年に勝主演の「座頭市物語」に出演。78年に「暴れん坊将軍」(テレビ朝日系)の主役徳川吉宗に抜擢される。2004年、「マツケンサンバⅡ」がヒットし、同年の「第55回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たす。

■忠臣蔵 04年10月18日~12月13日まで、「テレビ朝日開局45周年記念企画」作品として放送された。

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