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ニュース裏表 平井文夫 まさか岸田首相が再選か 自民党総裁選 歴史的な株暴落、経済運営に自信を持つ首相に大きな痛手…解散は打ちにくくなる

zakzak by夕刊フジ 2024年8月8日 6時30分

歴史的な株暴落は、9月に行われる自民党総裁選やその後の解散総選挙にも大きな影響を与えることになる。ただ、総裁選については誰からもまだ正式な「名乗り」が上がらず、「戦いの構図」が固まらない。

岸田文雄首相(総裁)はこのところ、麻生太郎副総裁、森山裕総務会長、林芳正官房長官ら「仲間内」との会談を繰り返し、政権運営や総裁選の情勢について協議しているもようだ。

森山氏との会談では「誰が総裁選に出る意向なのだろうか」と聞いただけで、自身の進退には言及しなかったという。

最近のメディア各社の世論調査では、岸田首相の交代を求める声が7割から8割を超えているが、首相本人は再選をまだ諦めていないようだし、「岸田降ろし」の動きも鈍い。

6月末に、菅義偉前首相が「岸田首相自身が裏金事件の責任に触れず今日まで来ている。不信感を持っている国民は多い」と批判して、事実上の退陣要求をした。だが、一部若手が同調した以外は後が続かず、特に「ポスト岸田」と言われる人たちは沈黙を守っている。

力の落ちた権力者は周囲が力ずくで降ろさないと、いつまでも居座る。逆に降ろしてしまえば、不安を持たれていた後継候補もそれなりになる。というのは、米大統領選で民主党のジョー・バイデン大統領から、カマラ・ハリス副大統領への候補者の「差し替え」で分かったことだ。

だから、日本でも岸田首相を降ろしてしまえば、立候補の名乗りも上がるだろう。戦いの構図も見えてくるのだが、誰も首相を降ろそうとしない。

もう一つは、岸田首相が総裁選に出るとして、他の人たちと政策がどう違うのかということである。欧米諸国は大体5年とか10年くらいのスパンで政権を担当する政党が代わるので政策も変わる。日本は政権交代がほとんどない国なので、首相が代わっても政策がどう変わるのか分かりにくい。

特に、岸田内閣の現職閣僚や経験者は岸田首相を攻撃しにくいし、そうでない人たちも「岸田批判」はあまりしない。だったら、「岸田さんのままでいいじゃないか」ということにならないか。

というのは、東京都知事選で自民党が「ステルス支援」した小池百合子知事が再選されたが、元立憲民主党で共産党の支援を受けた蓮舫氏は3位に沈んだ。このため、自民党内では「新総裁(岸田首相も候補の1人)を選んだ後に解散総選挙をすれば与党で過半数を取れるのではないか」という見方が出ていたのだ。

だが、今回の株暴落で流れは変わったように見える。

岸田首相は新NISA(少額投資非課税制度)の拡充を進めたが、今回の暴落で投資を始めたばかりの「庶民投資家」にも動揺が広がった。経済運営に自信を持っていた岸田首相にとっては大きな痛手で、たとえ総裁選で再選されても、その後の解散はなかなか打ちにくいのではないか。 (フジテレビ特別解説委員・平井文夫)

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