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カワノアユミの盛り場より愛を込めて 客の高齢化で変わる?タイの遊びの風景 過激なセクシーショーが売り「ボーイズゴーゴーバー」にみる値上げだけではない別の理由

zakzak by夕刊フジ 2024年9月12日 6時30分

この夏、タイのパタヤに短期滞在していた際、現地で合流した日本からの知人女性が「ボーイズゴーゴーバー」に行きたいと言うので、久しぶりに足を運ぶことにした。

ボーイズゴーゴーバーとはゴーゴーバーの男性版で、マッチョなボーイズたちが接客を行うバーのことだ。彼らは「ゴーゴーボーイ」と呼ばれる。通常は男性客向けだが、女性も入店可能なのだ。

ただ、筆者も7、8年ほど前までは頻繁に訪れていたのが、最近は足が遠のいていた。その大きな理由は値上げだ。私がよく行っていたのは2010年頃で、ドリンク代がだいたい1杯100バーツ(当時のレートで約270円)だった。それが徐々に値上がりし、円安も加わって現在はドリンク1杯が約300バーツ(約1270円)に。ボーイズのドリンクも300バーツ前後とそこそこするので、何度も通うには負担が大きくなってきたのだ。

別の理由もある。それはタイ人のゴーゴーボーイたちの接客だ。ボーイズゴーゴーバーの売りは過激なセクシーショーで、ショー自体は女性同士で行っても楽しく盛り上がれる。一方、1人で行くときはボーイズを指名して席に呼ぶのも一般的なのだが、彼らの接客態度にとにかくやる気が感じられないのだ。

言葉の壁も大きいのかもしれないが、こっちが話しかけても基本は無言だ。会話が続かないまま、黙って次第にこちらの腕や肩のマッサージを始めるボーイたちの姿を見ていると、自分でも一体何が楽しいのか疑問に思うようになったのだ。

そんななか、パタヤで新たに知ったのが、地元でも知る人ぞ知るゲイバーだった。この店ではラオス人やカンボジア人が出稼ぎで働いており、彼らはお酒を作り、翻訳アプリを駆使して一生懸命に会話をしてくれる。ゲームで場を盛り上げて、積極的にお酒も飲んでくれるのだ。その接客はゴーゴーボーイとは対照的で、自ら脱ぐような派手なパフォーマンスこそないものの、個人的にはずっと居心地が良かった。

料金も手頃で、ウイスキーのボトルを友人とシェアしても1人あたり500バーツ(約2120円)程度で時間制限もない。ボーイズゴーゴーバーの過激なショーは若い頃こそ楽しく感じたが、年齢とともに嗜好が落ち着いてくるのもまた自然だ。

タイでも少子高齢化は急速に進んでいて、パタヤの歓楽街も客の年齢層は徐々に上がってきている。実際、地元男性の間では女性が踊り音楽が騒がしいゴーゴーバーよりも、静かに会話を楽しんで遊べる「ジェントルマンズクラブ」の方が人気は高まっているようだ。高齢化はやがてその国の盛り場の風景さえも変えていくのだろうか。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街を取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。

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