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ぴいぷる 中井貴一とキムラ緑子「最強の62歳同級生コンビ」の愉快な再〝縁〟中井「相手は緑子さんしかいないと決めていました」

zakzak by夕刊フジ 2024年7月10日 6時30分

絶妙すぎるコンビだ。今月大阪と兵庫で再演されるリーディングドラマ「終わった人」の舞台で再び相まみえる。

この2人をよく引き合わせたものだ。映画にテレビに舞台にと引っ張りだこで、ジャンルも時代劇から現代劇まで幅広い。何よりも確かな演技力でシリアスからコメディーまで役を選ばず、演じる。間違いなく今の俳優界を代表する〝最強の62歳同級生コンビ〟といえるだろう。

中井「初共演は今から14年前、2010年の舞台『カーディガン』。忘れもしません。ポスター撮影のとき、(キムラ)緑子さんがアフロヘアで登場したんです。役とはまったく関係のないヘアスタイルで現れたので、みんな驚いて…」

キムラ「だって、ライブ活動中だったのでそのまま(ボーカリスト)のスタイルで行っただけ。でも本当に当時、私は常識がなかったのね(笑)」

まるで夫婦漫才を聞いているような軽快なやりとりが続く。

中井「(「終わった人」は)昨年、東京など全国8都市を回ったのですが、〝なぜ関西でやらないんだ〟と不満だったので、再演できてうれしいですね」

中井の父で俳優、佐田啓二は京都出身。キムラは兵庫・淡路島出身。ということで2人とも関西にはゆかりが深い。

キムラ「私も故郷の知人、友人たちから関西公演がなぜないのかと言われていたので、これでみんなを呼べますね」

内館牧子の同名小説が原作。俳優2人だけによるリーディング劇だ。

出世街道を歩んできた壮介(中井)だが左遷され、定年。妻(キムラ)はプライドだけ高い夫に愛想を尽かし…。

中井「壮介を演じることが決まった時点で、相手は緑子さんしかいないと決めていました」

キムラ「とても光栄ですが、そこまで請われて舞台に立つ私のプレッシャーも想像してみてくださいよ」

だが心配は杞憂(きゆう)だった。公演は大好評で、すぐに再演が決定。それでもチケットが即完売し再来年の再々演も決まっている。コロナ禍の影響が響く演劇界では異例の事態だ。

中井「舞台とも朗読劇とも違う。俳優2人、最小限のセットで移動できるのでどこででも公演できる。これまでにないジャンルのスタイルが確立できたかなと思っています」

キムラ「(1人4役を演じ分けるため)どう声を変え、演じるかが毎回、本当に難しくて。再演ではまた違った芝居ができそう」

中井「昨年の舞台の最中、『あれえ、サザエさんの声がするぞ』と思ったんですよね」

キムラ「えっ、本当にサザエさんの声だった? そんなこと言われたら、また違う声を考えないといけないじゃないの」

実はキムラは、人気番組「大改造!!劇的ビフォーアフター」(テレビ朝日系)で「サザエさん」の声優で知られる加藤みどりの後任としてナレーターに就任。「なんということでしょう」というおなじみのフレーズが「サザエさんにそっくり」という声が相次いだほどなのだ。

中井「当時は緑子さんがナレーターを継いだという話を知らなくて。だからサザエさんの声がして本当に驚いて(笑)」

そう話す中井もNHKの人気番組「サラメシ」でナレーションを担当している。独特の愉快な声で長寿番組に育てた功績は大きい。

中井「声だけで伝えるナレーションはリーディング劇にも通じると思う。勉強になります」

「終わった人」のテーマは終活。だが俳優に定年はない。

中井「幸か不幸か俳優は自己判断。呼ばれなくなったり、セリフを覚えられなくなったら辞めるしかない」

キムラ「今、若い俳優と一緒に演じていてとても楽しい。次の世代の俳優に古くても良いと思える芝居の伝統などは伝えていきたいと思う」

中井「再々演も決まったが、ずっと健康でいられるのか? そんな年代になったからこそ、毎回、ベストを尽くしたい」

最強の62歳コンビの定年は遠い先のようだ。(ペン・波多野康雅/カメラ・須谷友郁/レイアウト・佐々木勇)あす(10日)は俳優、岡山天音さんです

■中井貴一(なかい・きいち) 俳優。1961年9月18日生まれ、62歳。東京都出身。81年、成蹊大在学中に映画「連合艦隊」でデビュー。83年、主演ドラマ「ふぞろいの林檎たち」(TBS系)が大ヒットし、全国に人気が広がる。NHK大河ドラマ「武田信玄」(88年)など出演作多数。

■キムラ緑子(きむら・みどりこ) 俳優。61年10月15日生まれ。62歳。兵庫県出身。同志社女子大卒業後、84年、劇団「M.O.P.」の創設から2010年の解散まで看板女優として活躍。NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」(13年)で注目され、昨年放送のドラマ「VIVANT」(TBS系)の出演も話題に。

リーディングドラマ「終わった人」は7月13、14日=大阪・森ノ宮ピロティホール、15日=兵庫県立芸術文化センターで上演される。

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