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「安倍の敵」「対中融和」石破首相、トランプ氏と「1分も会えない衝撃」の面会断念 大丈夫か日米同盟 習主席からは〝秋波〟も

zakzak by夕刊フジ 2024年11月18日 11時52分

石破茂首相は、ドナルド・トランプ次期米大統領との早期会談を断念した。トランプ氏側が「大統領就任前に外国要人と会談しない方針」を伝えてきたという。ただ、トランプ氏はすでにアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領とは会談している。石破首相とトランプ氏との最初の電話会談は、わずか5分で終了した。やはり、石破首相が、トランプ氏の盟友である安倍晋三元首相を批判し続けてきた「政敵」であることも影響しているのか。こうしたなか、トランプ次期政権の「対中強硬路線」に警戒を強める習近平国家主席は、日本に〝秋波〟を送ってきている。石破政権の急速な「対中融和」姿勢を懸念する声も出てきた。日米同盟は大丈夫なのか。

「現時点において、会談はいずれの国とも行わないという説明を受けている」「双方の最も都合が良いなるべく早期に会談を行いたい」

石破首相は16日(日本時間17日)、外遊先のペルーで、記者団にトランプ氏との早期面会を断念したことを明かした。7日の電話会談が5分程度で終了し、トランプ氏の「石破軽視」が指摘されていた。水面下で懸命に面会を模索していただけに、政治的打撃は大きい。

早期の対面が実現しなかったのは、米国側の理由だという。

石破首相によると、トランプ氏側は、各国首脳から多数の面会依頼があるとしたほか、民間人が米政府の外交問題で外国政府と交渉することを禁じた「米ローガン法」を踏まえ、来年1月の大統領就任前の会談は行わない判断だと説明したという。

だが、永田町や霞が関では「この説明は苦しい」(外交関係者)との指摘が相次いでいる。

自民党ベテラン議員は「トランプ氏は、安倍氏とは強固な信頼関係を築いており、『日米同盟の意義や重要性』を知らないわけがない。国際情勢が不安定化するなか、あいさつ程度でも面会して『日米の絆』をアピールすべきだった。1分も会えないのは衝撃だ」と焦りをにじませる。

「誰とも会わない」という説明にも矛盾がある。

トランプ氏は14日、米フロリダ州を訪れたアルゼンチンのミレイ大統領と会談し、連携を確認している。ミレイ氏は、トランプ氏の大統領選勝利以降、各国首脳に先駆けて面会を実現させた。トランプ氏は多忙の中でも、「相手を選んで会談した」(前出のベテラン議員)ことになる。

トランプ氏の電話会談での石破首相への対応も気になる。石破首相とは5分間だったが、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とは12分間、フランスのエマニュエル・マクロン大統領とは25分間だった。

自民党の小野寺五典政調会長は「トランプ氏はもっと話したかったようだが、会合(パーティー)を中座して出てきてくれていた。石破首相が配慮して早めに戻ってもらった」とテレビ番組で明かしたが、自民党内からは「伝えることは山ほどあったはずだ」「スケジュールがパーティーの合間しかとれなかったのか」と批判の声もあがる。

麻生太郎元首相が4月に訪米して会談した際は、トランプ氏は「シンゾー(安倍元首相)を通して知っている」と歓待し、ニューヨークのトランプタワー内で約1時間会談した。2人は通訳なしで英語で語り合い、「日米関係の揺るがぬ重要性」などを確認している。

「アジアの安全保障問題は任せて欲しい」石破首相は気概を見せるしかない渡瀬裕哉氏

日米関係筋は「石破首相は本人を含めて、トランプ氏との接点が皆無だった。トランプ氏が再選する可能性は十分あっただけに、『外交手腕』『危機管理』が問われる事態だ。今回、トランプ氏が面会を断ってきたのも、低支持率にあえぐ石破政権の現状を見て、『早期面会の必要性がない』と判断した可能性がある」と指摘する。

トランプ氏と、安倍、麻生両氏との関係を分析する見方もある。

自民党中堅議員は「トランプ氏や側近は、石破首相が長年、安倍政権や麻生政権を批判し続けた経緯を知っているはずだ。安倍氏は公然と石破首相に反論していた。安倍、麻生両氏と親密なトランプ氏だけに、面識のない石破首相への印象は良好とは言えないだろう」と指摘する。

こうしたなか、石破首相は15日午後、習氏と初めて面会し、「戦略的互恵関係」の推進や、「建設的かつ安定的な関係」の構築を確認した。

トランプ次期政権は、中国への圧力を強める可能性が指摘されている。一方、習氏は日本との「融和」を図るとの観測があり、石破首相も中国へ傾斜する懸念が指摘されている。石破外交はどこへ向かうのか。

早稲田大学公共政策研究所招聘研究員の渡瀬裕哉氏は「トランプ氏は対中戦略を最優先事項と考えており、日本は眼中にないと考えられる。米中関係は今後、悪化の一途をたどるため、日米関係が悪化することはないと考えられるが、石破首相も、各国首脳の1人としてしか捉えていないのではないか。安倍氏とトランプ氏の関係は特殊で比較できないが、もし石破首相がトランプ氏の気を引こうと望むのであれば、台湾問題含めアジアの安全保障問題は『日本に任せてほしい』との気概を見せるしかない。日本側が安定政権であることも重要な要素ではないか」と分析した。

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