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井上尚弥、強すぎて対戦相手見つからない!? ドヘニーを難なく7回TKO、王座防衛 来年のラスベガス進出計画、見据える階級アップ

zakzak by夕刊フジ 2024年9月4日 11時35分

プロボクシングの4団体統一世界スーパーバンダム級タイトルマッチ

あっけないほどの圧勝劇は、今後のマッチメークをどう変えるのか。東京・有明アリーナで3日に行われたプロボクシング世界タイトルマッチで、スーパーバンタム級主要4団体統一王者の井上尚弥(31)=大橋=が、元同級世界王者のTJ・ドヘニー(37)=アイルランド=を難なく7回TKOで下し王座を防衛した。

5月のルイス・ネリ戦でダウンを喫したこともあり、今回は「6ラウンドぐらいまで慎重に」という作戦で臨んだ井上。それでも前に出て攻勢を貫きながらで、強烈な左ボディーなどをもらったドヘニーが腰のダメージで動けなくなり、自ら棄権した。

試合後は次戦12月の予定を明かしたが、米大手プロモーターのボブ・アラム氏は「来年ラスベガスで大きな試合を組みたい」と言った。ただ、1年以上も井上戦を見据えて準備してきた元世界王者のドヘニーでも惨敗したことで、ますます井上に見合う対戦相手が見つかりにくくなった。

順当なら各王座団体で世界1位のサム・グッドマン(25)=オーストラリア、ムロジョン・アフマダリエフ(29)=ウズベキスタン=の両者が指名挑戦者になるが、誰もが「井上の圧勝」としか見ていない。日本では井上の相手が誰であっても会場は埋められるが、ラスベガスではそうはいかない。

現在、海外ニュースサイトで話題になっているのは一つ上のフェザー級の猛者たち。その中でアラム氏が組むとなればWBO王者のラファエル・エスピノサ(30)=メキシコ=か、もしくは井上戦を何度も口にしているWBA1位のブルース・キャリントン(27)=米国=あたりが候補になる。

井上も今回、前日計量から戻した体重はこれまでで最も重い7・4キロで、「増やせるだけ増やして、どこまでリカバリーできるか試してみた」と語っており、将来の階級アップを見据えたものとみることもできる。

本来なら慌てて階級を上げる必要はないのだが、海外プロモーターはビッグマッチになるなら遠慮なく別階級の相手にオファーを出す。

また、海外では本格的に階級転向しなくとも、王座を持ったまま上の階級にチャレンジし、その感触を見て階級を決めるという選手も珍しくない。

井上も次戦の相手はグッドマンかアフマダリエフになっても、ラスベガスでやるなら、それをフェザー級転向のデビュー戦とする可能性は高い。

例外は中谷潤人との対戦か

「でも唯一、例外と言える選択肢もある」と関係者。それがWBCバンタム級王者の中谷潤人(26)=M・T=との対戦だという。「中谷はバンタム級で王座統一を目指しているけど、その上で避けられないのが井上の弟でWBA王者の拓真との統一戦。それが来年に実現したとして、もし拓真が負けることがあれば、兄の尚弥が敵討ちに意欲を燃やすはず」

井上と中谷の試合は、業界人が「また東京ドームを満員にできる」と口をそろえる切り札だ。井上がこれを見据えた場合、現階級にとどまることもあるだろう。

いずれにしても強過ぎる井上には、試合をすればするほど対戦相手に困っていくという、珍しい現象が起きている。 (元格闘家、ジャーナリスト・片岡亮)

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