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都知事選最終盤 激しく追い上げる石丸伸二氏VS蓮舫氏で〝つぶし合い〟 「静観」小池百合子氏が漁夫の利か

zakzak by夕刊フジ 2024年7月5日 11時53分

東京都知事選(7日投開票)は最終盤を迎えた。過去最多の56人が出馬し、各陣営は街頭演説やSNSを駆使するなどそれぞれの戦略を繰り広げた。選挙戦は当初、3選を目指す小池百合子知事(71)と前参院議員の蓮舫氏(56)の事実上の一騎打ちとの見方もあったが、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏(41)が若者や無党派層を中心に支持を集め、一部情勢調査では、蓮舫氏を逆転したという。何が起きているのか。

共同通信の中盤情勢に関する電話調査(6月29、30両日)では、小池氏が「一歩リード」で蓮舫氏が続き、石丸氏が「激しく追い上げる」展開と報じた。その他の複数の調査をみると、いずれも小池氏のリードは変わらないが、蓮舫氏が石丸氏を突き放しているものもあれば、石丸氏が蓮舫氏を逆転しているものもあった。

そこからラスト1週間で情勢はどう変わってきたのか。終盤情勢について、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「選挙戦当初は『小池氏対蓮舫氏』の構図とされた。しかし、小池氏と自民党の関係を追及するムードは選挙戦が進むにつれて薄れ、石丸氏の躍進が目立っている」と分析する。

小池氏は「公務優先」の姿勢を強調し、告示後も街頭で姿をみせるのは土日が中心だった。有権者の少ない地域から選挙戦を始め、終盤に人口の多い地域に進む「川上作戦」を展開した。

だが、陣営関係者が「必ずしも大勢の前に出ることだけが票につながるわけではない」と語るように、都電の車両内でのプロレス〝参戦〟や、船上からのアピールなどが目立ち、多くの有権者を集めた場での街頭演説は少なかった。

角谷氏は「小池氏は現職の強みをうまく利用して、自分に有利な選挙戦を展開した。世論調査の数字などからガツガツ行く必要はないと判断したのだろう」と語る。

蓮舫氏は都市部を中心に街頭演説を実施し、離党した立憲民主党や、共産党の国会議員らが応援に駆けつけた。

出馬の意向を示した際に蓮舫氏は「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセット」すると強調していた。ただ、無党派層や若者の支持獲得に伸び悩んだこともあってか、選挙戦が進むにつれて若者向けの政策をアピールするなど軌道修正もみられた。

陣営関係者は「若い世代にも訴えが届くようにすることは意識している。街頭に集まっていただいてパワーをもらい、訴えていることに耳を傾けていただいている。2、3位で争っても仕方ない」と話す。

角谷氏は「『自民党との戦い』だと言い続けた方が有権者に浸透したのではないか。革新都政の美濃部亮吉元知事(在職1967~79年)も初当選時、『(当時首相の)佐藤栄作批判』だけで有権者を動かした」と指摘する。

石丸氏は、1回約15分の街頭演説を1日10カ所前後で続け、ユーチューブでも街頭演説などの動画を投稿した。石丸氏が登場するライブ配信も告示後は数日おきだったが、終盤には連日開催した。

「まだ支持を決めかねている層が195万人程度いると見込んでいる。人海戦術で最終日(6日)に携帯電話への電話かけを実施できれば」と陣営関係者は意気込む。

角谷氏は「ユーチューブのイメージを損なわない物腰を選挙戦でも続け、政治家やメディアなど、ダメなものを明確に言う『石丸スタイル』を貫いたのも魅力の一つだ。街頭演説とネットの相乗効果で、演説の内容よりも、絶えず街頭活動をやっているというイメージがついたのではないか」とみる。

■投票率次第で結果大きく変化

今回の選挙戦について、ベテラン選挙アナリストはこんな見方を示す。

「蓮舫氏が小池氏に勝つには、自民党支持の保守層と無党派層の票を獲得する必要がある。そのためには選挙に行くシニア層、中でも女性層の獲得は必須だったが、攻撃的な演説や物言いが〝上から目線〟に映ったのではないか。政策も若者に軸を置きすぎて、高齢者や女性は取り残された感を生んだ。共産党色が強すぎるのも戦略ミスだった。石丸氏も勢いはあるがやはり基礎票がないのがネックだ。蓮舫氏と石丸氏のつぶし合いで、漁夫の利を得たのは小池氏という展開だった」

都選挙管理委員会によると、6月21日~30日の期日前投票者数は55万7475人で、前回20年の同時期より7万2811人増えており、有権者の関心の高さを示している。

コロナ禍で行われた前回の投票率は55・00%だった。無党派層の動向によって、投票率や結果が大きく変わるのが東京の選挙だ。

角谷氏は「東京は新顔を受け入れる土壌がある。投票率が上がれば、小池氏よりは蓮舫氏と石丸氏に流れるのではないか」と語った。

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