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NHK「放送テロ」深刻な実態 「反日」発言のスタッフ「南京大虐殺・慰安婦を忘れるな」英語でも発信 公共放送のセキュリティー大丈夫か

zakzak by夕刊フジ 2024年8月23日 11時28分

NHKのラジオ国際放送の中国語ニュースで、原稿の読み上げを担当する中国籍の外部スタッフが、沖縄県石垣市の尖閣諸島を「中国の領土」と放送した問題で、深刻な「放送テロ」「電波ジャック」の実態が明らかになった。このスタッフは「南京大虐殺を忘れるな」「慰安婦を忘れるな」などと英語でも発信していたのだ。メディアやSNSを通じて、フェイクニュースやプロパガンダを流布する「情報戦」は、ロシアのウクライナ侵攻でも実行された。中国は他国に対し、軍事だけでなく、政治、外交、経済、情報、サイバーなど、あらゆる手段を駆使した「超限戦」を仕掛けている。日本の公共放送であるNHKの情報セキュリティーは大丈夫なのか。

明言避けていた

「わが国の公共放送が、こういうことを世界に発信したというのは、決して『おわび』で済む問題ではない」

国民民主党の榛葉賀津也幹事長は21日の記者会見で、NHKの「反日」放送問題をこう断じた。与野党の議員からも怒りの声が噴出している。

問題の放送は、NHK短波ラジオと衛星ラジオの国際放送、ラジオ第2放送で19日午後1時過ぎから放送した中国語ニュース番組で起きた。40代の中国籍の男性外部スタッフが、東京都千代田区の靖国神社の石柱に中国語とみられる落書きが見つかったニュースを伝えた後、原稿にない独自の主張を約20秒間も繰り広げたのだ。

ところが、NHKは問題の発覚当初、スタッフの尖閣諸島をめぐる発言以外の部分について明言を避けていた。

夕刊フジの取材にも、NHK広報局の担当者は「(発言)内容はそれだけではないけれど、不適切な発言であるので、それを改めてお伝えすることは控えさせていただいております」と繰り返すだけだった。

NHKの稲葉延雄会長は22日、自民党情報通信戦略調査会でようやく、以下の部分を明らかにした。

スタッフは中国語で、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)と付属の島は古来から中国の領土です」「NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」と述べ、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女(慰安婦)らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と発言したという。

榛葉氏 中国の「世論戦」「心理戦」「法律戦」が始まっている

前出の榛葉氏は「ニュースと無関係な発言が放送されたという次元ではない」「中国の三戦、『世論戦』『心理戦』『法律戦』が始まっているのではないか。意図的にやったと思われても仕方がない」と危機感をあらわにした。

「三戦」とは2003年、中国共産党が情報戦を念頭に採用した政治工作条例だ。世論の心理的側面にアプローチする情報戦とされ、防衛関係者は「あらゆる手段で戦争を仕掛ける『超限戦』にも通じる」と指摘する。

問題のスタッフはNHKの関連団体が業務委託契約を結んでいた。2002年から日本語のニュース原稿を中国語に翻訳してラジオで読み上げる業務を担当していた。NHKは21日付で契約を解除し、損害賠償請求と刑事告訴を検討しているが、スタッフは「代理人を通じて対応する」などとしており、動機は不明だ。

NHKの国際番組基準は、「わが国の重要な政策および国際問題にたいする公的見解(中略)を正しく伝える」と規定している。

過去のチェック体制は不明

尖閣諸島は、日本政府が10年にわたって調査し、「いかなる国も領有権を持たない無主の地」として、1895(明治28)年に編入した。魚釣島では、かつお節製造と羽毛採取が行われ、最盛期には約200人が生活していた。日本固有の領土であり、領有権の問題は存在しないというのが日本政府の立場である。

慰安婦問題は、吉田清治という人物の、朝鮮半島で女性を「奴隷狩り」して慰安婦にしたという虚偽証言を朝日新聞が拡散し、日本と日本人の名誉を著しく貶めた。朝日新聞は2014年8月、誤報を認めて記事を取り消している。日本政府は「性奴隷」という表現も事実に反しており、使用すべきでないとの公式見解だ。

日本政府の主張と真逆の独自見解が、公共の電波に乗り世界へ発信された形で、NHKは、番組を事前収録にするなど再発防止策を打ち出した。だが、過去のチェック体制は不明で、同様の「放送テロ」が行われていた恐れもある。

稲葉氏は調査会終了後、報道陣に「国際番組基準に抵触する極めて深刻な事態」「原因究明を行い、関係した役職員の責任を問うとともに、再発防止策の確定を急ぎたい」と陳謝した。

世論や識者からは怒りの声が噴出している。

中国事情に詳しい評論家の石平氏は「前代未聞の事態だ。日本にテロ、攻撃を行ったに等しい。NHKの責任者、経営陣が辞任すべき深刻な事態だ。国会や日本政府は『背景』『NHKの体制に問題がなかったか』『過去に同じような発言がなかったか』などを徹底追及しなければならない」と語気を強めた。

テレビ放送の問題点を追及してきた米カリフォルニア州弁護士のケント・ギルバート氏も「今回の問題は、『報道は事実をまげないですること』『政治的に公平であること』をうたう放送法第4条に明らかに違反している。総務省が『国際放送の免許取り消し』を検討すべき事案だ。NHKは受信料に加え国費で成り立っているが、客観的で正当な情報を放送する態勢が担保できない限り、税金を投入してはならない。NHKは組織が巨大でチェックや、ガバナンスが効かず、不祥事などの改善が進みにくいとの見方もある。組織を分割し、一部民営化するなど管理体制を見直すべきではないか。これが英BBCの放送なら、英国民は憤激したのではないか。日本国民も、もっと怒るべきだ」と語った。

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