今月スタートするバレーボールの国内新リーグ「大同生命SVリーグ」の開幕記者会見が30日、東京都内で行われた。男子の開幕戦(11日、東京体育館)ではパリ五輪ベスト8の主力の高橋藍(らん、23)=サントリー=と、西田有志(24)=大阪B=が激突する。観戦チケットは発売日当日にわずか1時間で完売。特に高橋はインスタグラムのフォロワー数300万人に迫る圧倒的な人気を誇り、バレーブーム復活のキーマンだ。開幕戦はフジテレビ系で地上波生中継(午後6時50分~午後8時54分)される。 (久保武司)
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「開幕戦からいいものをお見せしたい。正直、イタリアとの差はそんなにはない。超えるリーグにできる」
世界最高峰リーグとされるイタリア・セリエAで3季プレーし、昨季は、日本人2人目のイタリアリーグ決勝を経験した。今季から国内リーグへ初見参。日本バレーボール界の命運を握る〝藍フィーバー〟が盛り上がりをみせている。
「新しい挑戦をしたい。僕は攻撃も守備もできますから」と女性ファンが腰砕けになるキラキラの笑顔を振りまいた。その人気は世界レベルで、インスタのフォロワー数もパリ五輪の期間中に50万人以上増加して右肩上がり。現在約278万人を誇っており、「早く300万人にのせたい」と意欲満々だ。
男子バレーの潜在的な人気は高い。パリ五輪では平均世帯視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)では、敗退したものの準々決勝のイタリア戦が23・1%と全競技中で最高を記録した。視聴率3位にも1次リーグのアルゼンチン戦が17・9%で入った。金メダルも期待された男子バレーだけに、思い通りの結果ではなかったが、ファンは確実に増えたといえる。
SVリーグの担当者は、「開幕戦でバレーボールを見たことがない方に、できるだけ多く視聴してもらえる環境を整えたかった」と開幕戦を地上波での完全生中継を計画した。複数の民放局での争奪戦の末に、フジテレビがバレーボールの国内リーグでは異例となる地上波ゴールデンタイムでの生放送を決めた。延長になった場合でもBSで完全生中継する。
開幕戦の東京体育館のチケットは8万円を超える席もあるが、「値段が高いものから完売の状態が続いた」とSVリーグは嬉しい悲鳴を上げている。
昭和の時代から、日本のバレーボールは、野球、サッカーに引けをとらない人気競技だった。ポイントの応酬やスリリングな競り合いはテレビ向きの競技でもある。SVリーグのチェアマンにはサッカーJリーグ初代チェアマンの川淵三郎氏(87)の「右腕」だった大河正明氏(66)が就任し、改めてバレーブームの火付け役を務める。
バスケットボールのBリーグの立ち上げにも奮闘したコンビだけに、期待も大きい。大河チェアマンも「SVリーグを稼げるリーグにする」をテーマに掲げ、開幕も十分なスポンサー支援を整えた。SVリーグのスタッフもJリーグでのキャリアがあるメンバーが複数在籍している。
そして、プロ競技を普及させるには何よりも国民的な人気を獲得できるスター選手が必要だ。現在、その役割を期待されているのが高橋だ。
開幕戦の地上波生中継も大型スポンサー獲得もその存在が大きかった。この日の会見でも高橋の〝出待ち〟をするファンが殺到するのを防止するため、報道関係者に「事前告知をしないでほしい」という異例の通達が出るほどだった。
高橋は「欧州リーグの多くの選手たちは日本に行きたいといっている。プレーはもちろんですが、生活面や文化面でも素晴らしいものがあると話している。日本のプロリーグは世界最高峰のリーグになっていけると思う。もっとバレーを見に行きたいと思ってもらえるような試合をしないといけない責任がある」と自覚も十分だ。
10月はプロ野球が大詰めを迎え、サッカー日本代表のW杯アジア最終予選もある。バレーボールは追いつき、追い越していけるか。
■SVリーグ 「SV」の「S」は「Strong(強く)」「Spread(広く)」「Society(社会)」の頭文字に由来する。 Vリーグを再編成し、クラブライセンス制度を導入。2027年に完全プロ化を目指す。男子は10チーム、女子は14チームでスタート。ホーム&アウェーで44試合ずつを戦い、男子は上位6チーム、女子は上位8チームがプレーオフに進む。女子は10月12日にNEC川崎―埼玉上尾で幕を開ける。決勝は男子が5月3~6日、女子は同2~4日の予定。前身のVリーグから外国籍枠が1人増えた2人となり、外国人枠はアジア枠1人を加えた最大3人となる。
◆SVリーグ男子2024―25シーズン参加チーム◆
チーム名 拠点
ヴォレアス北海道 北海道旭川市
東京グレートベアーズ 東京都渋谷区
VC長野トライデンツ 長野県松本市
東レアローズ静岡 静岡県三島市
ジェイテクトSTINGS愛知 愛知県岡崎市
ウルフドッグス名古屋 愛知県稲沢市
大阪ブルテオン 大阪府枚方市
サントリーサンバーズ大阪 大阪府大阪市
日本製鉄堺ブレイザーズ 大阪府堺市
広島サンダーズ 広島県広島市
◆SVリーグ女子2024―25シーズン参加チーム◆
チーム名 拠点
アランマーレ山形 山形県天童市
デンソーエアリービーズ 福島県郡山市
Astemoリヴァーレ茨城 茨城県ひたちなか市
埼玉上尾メディックス 埼玉県上尾市
NECレッドロケッツ川崎 神奈川県川崎市
KUROBEアクアフェアリーズ 富山県黒部市
PFUブルーキャッツ石川かほく 石川県かほく市
クインシーズ刈谷 愛知県刈谷市
東レアローズ滋賀 滋賀県大津市
大阪マーヴェラス 大阪府大阪市
ヴィクトリーナ姫路 兵庫県姫路市
岡山シーガルズ 岡山県岡山市
SAGA久光スプリングス 佐賀県鳥栖市