米大リーグはワールドシリーズ(WS)が終わると、ストーブリーグに突入する。補強を巡って再び熱戦を繰り広げそうなのが、世界一を争ったドジャースとヤンキースだ。
たとえば、ヤ軍のフアン・ソト外野手。25日に26歳の誕生日を迎えた左打ちの強打者は、今オフのフリーエージェント(FA)市場の目玉に挙げられている。代理人は辣腕のスコット・ボラス氏。米メディアは両球団の争奪戦で、総年俸は5億ドル(約765億円)とも6億ドル(約918億円)とも報じている。
ソトは19歳だった2018年にナショナルズでデビュー。翌年は球団史上初の世界一に貢献し、コロナ禍でシーズン短縮となった20年には打率・351で首位打者を獲得した。すでに3度もリーグ最多四球に輝くほど選球眼がよく、出塁率の高さも特長だ。
パドレスを経て昨オフにヤ軍へトレード移籍。今季は打率・288ながら自己最多41本塁打を放ち、3番アーロン・ジャッジ外野手(32)とのコンビでリーグ1位の128得点を稼いだ。WS第2戦(ロサンゼルス)では同い年の山本由伸投手から本塁打を奪った。
補強資金が潤沢な両球団は過去にもFA選手を取り合ってきた。WS初戦に先発したヤ軍エースのゲリット・コール投手(34)はカリフォルニア出身。大学もロサンゼルス(UCLA)だったが、FAになった19年12月に当時の投手史上最高額(9年総額3億2400万ドル)でニューヨーク移籍を選んだ。
記憶に新しいのは昨オフの山本争奪戦。ヤ軍のキャッシュマンGMは、視察のために昨年来日してノーヒットノーランを目撃。ポスティングされると、ブーン監督らとともに米大陸を横断して西海岸にいた山本と交渉したが獲得できなかった。WS第2戦で抑え込まれたことで、悔しさは倍増しただろう。
一方のド軍は昨オフ、大谷翔平投手(30)と史上最高額の10年7億ドル(約1071億円)で契約したが、総年俸の大半は後払い。補強ポイントは投手陣とはいえ、資金には余裕がある。
WSでは43年ぶりに実現した東西の名門対決。敗れた方が、巻き返しに躍起となる。 (元全米野球記者協会理事 田代学)