ドナルド・トランプ次期米大統領は4日、貿易・製造業担当の大統領上級顧問に、第1次政権で通商担当大統領補佐官を務めたピーター・ナバロ氏を起用すると発表した。また、国防長官候補について、ピート・ヘグセス氏に代わり、フロリダ州のロン・デサンティス知事らの指名を検討しているという。いずれも対中強硬派で次期政権の姿勢は明確だが、石破茂政権は「中国人向けビザ要件緩和」調整など対中融和に傾いている。日米関係は大丈夫か。
ナバロ氏は、元カリフォルニア大学教授の経済学者で、『米中もし戦わば―戦争の地政学』(文藝春秋)などの著書を持ち、中国脅威論を主張してきた。2021年の米議会襲撃事件を調査する下院特別委員会への証言を拒んだとして議会侮辱罪に問われ、今年、禁錮4月と罰金の有罪判決を受けて服役した。
トランプ氏は、この服役を念頭に、自身のSNSサイトで、「(ナバロ氏は)ディープステート(闇の政府)からひどい扱いを受けた」と発信していた。
国防長官候補のデサンティス氏は、大統領選で共和党候補指名獲得を目指して出馬し、撤退した後にトランプ氏支持に転じた。選挙戦中には大統領選で勝利した場合は、中国から恒久的な最恵国待遇を剥奪するなどと発言していた。保守派として広く知られて軍歴もある。
一方、石破政権は対中融和に進んでいる。
岩屋毅外相は4日、民間対話「東京―北京フォーラム」に出席し、「(日中両国は)あらゆる分野で意思疎通を強化しないといけない」と発言。中国が日本人の短期滞在の査証(ビザ)免除措置を再開したことを、「再び日中関係は前に力強く進み始めた」と評価し、「この歩みをさらに推し進めるため、できるだけ早く中国を訪問したい」と意欲を示した。
石破政権はまた、中国人が日本を訪問する際に必要なビザの発給要件を緩和する方向で調整に入った。
石破首相とトランプ氏の早期会談はメドすら立っていない。