社内のスポーツイベントで一体感を育むことは、組織向上に役立つ。また、従業員にとっては円滑なコミュニケーションの一助や、仲間意識の醸成などにつながりメリットが大きい。しかし、企業が巨大化、あるいは、拠点が多いと、1カ所に従業員を集めるスポーツイベントは難しい。その点、サントリー食品インターナショナルは、グループのウオーキングイベントなどをうまく活用している。
【参加人数と歩数で社会貢献活動も】
同社所属のサントリーグループは、2016年に「健康経営宣言」を行い、2017年から毎年10月、ウオーキングイベント「One Suntory Walk」を開催。世界中のサントリーグループ社員が、ウオーキングで健康習慣を身につけ、「One Suntoryとしての一体感を体感」しているという。
同時に、このイベントへの従業員の参加人数や歩数に合わせて、サステナビリティ活動に関わる団体に寄付するといった社会貢献活動も行っている。
一方、同社は社外向け健康経営支援サービス「サントリープラス」を社内でも活用しているという。
「今年5月にもグループイベントとして、事業所対抗の『歩こうフェス』も実施しました」と、同社SBFジャパンイノベーション開発事業部の東琢人氏は話す。
「サントリープラス」は、自販機に連動した健康経営支援サービスで2020年に開発したという。「朝起きたら水を飲む」といった簡単なタスクを続けると、対象自販機で使える無料クーポンやポイントなどがもらえる仕組み。
【参加者全員に飲料クーポン配布】
一般的に事業所対抗のイベントは、職場の従業員同士が声を掛け合いながら参加するため参加者数が増え、他の事業所へのライバル意識に火がつけば、自ずと歩数は増えていくだろう。
5月実施のグループ全社での「歩こうフェス」では、参加賞として参加者全員に「特茶」など飲料製品と交換できる飲料クーポンを配布したという。さらに、上位3位までのチームメンバー全員には、順位に応じて追加で飲料クーポンを配布。従業員からは、飲料クーポンについて「毎日の飲料購入にあてられてうれしい」といった声が寄せられた。
「『サントリープラス』は、自販機設置を条件にアプリや管理者用のダッシュボードなど、基本的な機能は全て無料でご使用いただけます。現在、1200社以上が導入しています」(東氏)
アプリを活用し、毎日楽しく、同僚とコミュニケーションを深められる習慣は、長続きしそうだ。 (取材・安達純子) 【次回1月7日は「JTB」です】
■サントリー食品インターナショナル株式会社 国内・海外の食品事業。グループ会社77社。従業員数2万3532人(2023年12月31日時点)。創業1899年、09年設立。経済産業省等の「健康経営優良法人(ホワイト500)」に8年連続、「健康経営銘柄2024」も認定。
【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。