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岩盤保守層奪還へ 高市早苗氏、総裁選〝波乱の出馬〟熱心な自民党支持層が最も推す存在「日本初の女性宰相」に期待

zakzak by夕刊フジ 2024年8月22日 11時34分

来週にも出馬表明

自民党の高市早苗経済安保相(63)は21日、党総裁選(9月12日告示、同27日投開票)で立候補に必要な推薦人20人の確保にめどが付いたとして、来週中に出馬表明する方向で調整に入った。総裁選では、10人以上が出馬に意欲を示し、推薦人確保が難航していた。安倍晋三元首相が前回総裁選で全力支援し、世論調査でも高い支持を集める保守派を代表する高市氏が出馬すれば、岸田文雄政権で離脱した「岩盤保守層」の奪還が視野に入る。「日本初の女性宰相」にも期待がかかる。ただ、総裁選は、「旧派閥の力学」や「キングメーカーの対峙(たいじ)」で不透明感を増している。次期衆院選だけでなく、日本の未来を見据えた選択が求められそうだ。

「『力強い日本をつくっていく』という目的に向かって頑張っていく」「ぜひ一緒に戦ってほしい」

高市氏は21日夜、東京都内で行われた保守系議員との会合で、こう呼びかけ、出馬の決意を表明したという。

松下政経塾の先輩で、高市氏を支える山田宏参院議員は会合後、「推薦人は集まるめどがついた。来週には高市氏の出馬に関わる決意表明がある」と記者団に見通しを示した。

高市氏は前回2021年の総裁選では、安倍氏の支援を受け、国会議員票では、トップの岸田文雄首相に次ぐ114票を獲得した。党員票を含めた総数では3位にとどまり、決選投票に進めなかった。ただ、「政界屈指の保守派」「日本初の女性宰相」の期待に応える戦いを見せた。

岸田政権では、党政調会長を経て、22年8月に経済安保相に就任した。先の国会で、「安倍元首相の宿題」とされた「セキュリティ・クリアランス(SC、適格性評価)」制度の根拠となる重要経済安保情報保護・活用法成立を実現した。

安倍氏は22年7月、参院選の街頭演説中に凶弾に倒れた。高市氏は昨年11月、保守再生を目指して、自民党内に勉強会「『日本のチカラ』研究会」を立ち上げ、同志づくりに励んできた。現在、全国各地で開催している講演会には多くの聴衆が集まっている。

自民党議員は「自民党を根っこで支えてきた保守の熱心な支持者に、最も推されているのが高市氏だ。世論全体で見ても波及力がある」と語る。

共同通信が19日に公表した緊急世論調査で、「次期総裁にふさわしい人物」を聞いたところ、トップは石破茂元幹事長(25・3%)、2位は小泉進次郎元環境相(19・6%)、高市氏(10・1%)は3位だった。

ただ、産経新聞グループのマーケティング会社「産経リサーチ&データ」が行った「総裁選で誰が選ばれてほしいか」を問う調査(19~21日実施)では、高市氏は35・9%で1位だった。

「旧派閥の力学」「キングメーカー対決」で先の見えない戦い

ベテラン議員は「岸田内閣の支持率が危険水域に沈み込んだのは、『政治とカネ』の問題をはじめ、不祥事に対する岸田首相のガバナンスを欠いた場当たり的な対応に国民が激怒したからだ。加えて、安倍、菅義偉両政権を支えた岩盤保守層は、岸田政権の拙速なLGBT法の法制化や、米国には従順で、中国にも毅然(きぜん)と対峙できない岸田外交に辟易(へきえき)していた。世論は『党刷新』に加え、筋の通った政策論と、それを実現する政権運営力を切望している」と語る。

高市氏は、経済安保の推進に加え、憲法改正に強い意欲を示し、安定的な皇位継承のあり方をめぐっては「(戦後に皇籍を離脱した)旧宮家の皇籍復帰がいい」と語っている。経済・財政政策では、「必要なところに的確に投資し、税収で戻ってくるかたちをつくる」と述べ、積極財政派としてプライマリーバランス黒字化に固執する財務省などにクギを刺している。

総裁選は、現職の岸田首相が不出馬を表明し、10人以上が出馬を目指す大乱戦だ。主流派の麻生太郎党副総裁と、非主流派の菅義偉前首相の「キングメーカー対決」も過熱しており、「支援者や推薦人の激しい引きはがしも起きている」(中堅議員)という。

鈴木哲夫氏「永田町の論理と世論の乖離」

総裁選を統括する選挙管理委員会をめぐっても、岸田首相が、推薦人になれない選管委メンバーに旧岸田派を1人も選出しない一方、高市氏の推薦人と見込まれた議員が複数選出され、高市氏周辺が「出馬封じ」と激怒する場面もあった。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「自民党で『保守派』を代表するのは高市氏だ。国家観も明示している。賢明な国民は40代候補の出馬表明を受けた、『世代交代』の争点化を選挙目当てのパフォーマンスと感じている。その怒りは政策の迷走やガバナンス崩壊など、より本質的な責任放棄への怒りだ。総裁選の駆け引きを見ると、永田町の論理と世論の乖離(かいり)はさらに進んでいるように感じる。自民党は、支持の3割程度を占める『岩盤保守』の呼び戻しもカギだ。高市氏が総裁選でいかに戦うかに注目されるのは確かだ」と語る。

「強い日本をつくることに全力を尽くす。それが、安倍元首相への一番の恩返し」と語る高市氏。岩盤保守層の支持を受けて、局面を打開できるか。

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