青山繁晴参院議員が警鐘
石破茂首相は14日、ペルー、ブラジル歴訪に出発する。APEC(アジア太平洋経済協力会議)と、G20(20カ国・地域)の両首脳会議に出席するためで、ペルーの首都リマでは、ジョー・バイデン米大統領や、中国の習近平国家主席との初会談を調整している。帰国途中、米国でドナルド・トランプ次期大統領との会談も模索している。石破氏の出発前日、衆院は委員長と審査会長の人事を決定し、自民党は憲法審査会長や法務委員長を立憲民主党に明け渡した。自民党の保守系団体「日本の尊厳と国益を護る会(護る会)」代表、青山繁晴参院議員は夕刊フジの単独インタビューに、石破政権による「習氏の『国賓来日』復活」の可能性と、「憲法改正棚上げ」「選択的夫婦別姓導入」の危険性に迫った。
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石破首相の南米歴訪、首脳会議や個別会談以上に、帰国途中にトランプ氏との会談が実現するかが注目される。初めての2人の電話会談(7日)が「たった5分間」という異例の短さだったためだ。
背景として、石破政権の「中国重視」の姿勢が指摘されている。石破首相は今回、中国の習氏との首脳会談を調整しているが、先月にはラオスで李強首相とも会談した。自民党の森山裕幹事長は8月、超党派の「日中友好議員連盟」で訪中し、林芳正官房長官は親子2代で同議連会長を務めた。
青山氏は「トランプ氏は、『親中』とされる石破氏の姿勢を見極めていると思われる。5分という電話会談は『中国にすり寄るな』とのメッセージで、諸外国首脳と差をつけた可能性が高い。トランプ氏が『会いたい』と言えば、習氏より先に対面で会談という合意ができたはずだった」と指摘する。
習氏をめぐっては、2020年春に「国賓来日」が予定されていたがコロナ禍を受けて延期されたままだ。青山氏は次のように分析した。
「石破首相は、トランプ次期政権の対中姿勢を見極め、『外交儀礼だ』と言い訳したうえで、習氏の『国賓来日』の復活を目指す意図があるとみている」
ちなみに、トランプ次期政権で外交を担当する国務長官には、中国やロシア、北朝鮮に厳しい政治姿勢が信条というマルコ・ルビオ上院議員(共和党)が決まった。
先の衆院選で、石破首相(自民党総裁)は自ら設定した勝敗ライン「自公与党で過半数」を大きく割り込む大惨敗を喫しながらも、何の責任も取らずに「政権居座り」を続けている。
ただ1人辞任迫る
青山氏は、衆院選総括のために開催した両院議員懇談会(7日)で、ただ1人、石破首相に責任を取って辞任するよう迫った。改めて聞いた。
「石破首相は来年度の予算編成や税制改正までに退陣し、新総裁の下で、来年の参院選でもう一度、信を問うのが憲政の常道であり王道だ」
衆院は13日、委員長と審査会長の人事を正式決定した。予算委員長に安住淳元財務相、憲法審査会長に枝野幸男元官房長官、法務委員長に西村智奈美元幹事長が就くなど、重要なポストを立憲民主党が握った。
「予算委員会をはじめ、重要な委員長を野党に渡したのは〝党内野党〟といわれた石破首相らしい手法だが、自由民主党の根幹が崩れ、国会が〝学級崩壊〟状態になる懸念がある。憲法審査会の会長も野党に譲り、石破首相は『改憲するつもりはない』とあえて満天下に示した。また、野党が予算審議に応じない時に、委員長が正当な職権で開会することも不可能となる。年度内に予算を上げないと国家機能が停止するから、野党に生殺与奪の権を握られる」
法務委員会では、岩盤保守層が警戒する「選択的夫婦別姓」を審議するため、立憲民主党のペースで採決まで進む危険性がある。
来夏に衆参ダブル選や都議選とのトリプル選も選択肢
青山氏は警鐘を鳴らした。「夫婦同姓で、生まれた子供も同じ姓であることが『家』の安定につながっている。日本の根幹に、国民のために祈られる皇室の存在がある。選択的とはいえ、夫婦別姓を端緒に『家』を壊していけば、将来は天皇陛下のご存在が危うい。それは日本を喪うことだ。石破首相にこうした哲学はほぼない」「石破首相が『居座り』を続ければ、自由民主党の根幹が崩れる」
NNNと読売新聞の緊急世論調査(11、12日実施)で、内閣支持率は43%で前回から9ポイント上昇した。来年夏に東京都議選や参院選を控えるなか、青山氏は石破首相の狙いを読み解いた。
「野党の意見を聴く〝例外的首相〟と印象付けた方が辞めなくて済むというのが石破首相の戦術だ。支持率が5割前後まで回復すれば、批判も馬耳東風で済むとお考えだろう。来夏に衆参ダブル選や都議選とのトリプル選も選択肢には入っている。しかし、野党が統一候補を立てれば敗れるおそれは強い」