この時期のプロ野球は各球団が地方球場で試合をしますが、慣れていない球場というのはいろいろなことが起こるものです。
2日は長野県松本市で巨人―中日戦の実況をしたのですが、巨人・山﨑伊織と中日・小笠原慎之介の両先発、リリーフ登板した中日の松山晋也、ライデル・マルティネスら投手陣は軒並み制球を乱していました。
山崎投手は2回に四球、死球と連発。小笠原投手はストレート系が抜けてしまうと見るや、中盤からほぼ半数をカーブ、チェンジアップという緩いボールに。また、マルティネス投手は踏み出し部分の土をスパイクで踏み固めていました。
原因はマウンドの傾斜、あるいは柔らかさにあったようです。近年フランチャイズ球場のマウンドはメジャー並みに硬くなってきていますから。また、内野の土も軟らかかったため、選手の走路は掘れやすくなっていたといいます。
さらに外野はフェンスが非常に硬かったため、ボールが大きく跳ね返りました。そして、こうした〝地方球場マジック〟は時に、われわれ実況アナにとっても落とし穴になります。
7回に巨人・岡本和真選手の打球は角度よく舞い上がりました。「打った、左中間へこれは大きい! レフト、センターともスタンドを見上げ…」。私はホームランを確信した実況をしたのですが、実際は「おーっと、ボールが落ちてきた…レフトが取りました…」と失速。
解説の真中満さん(元ヤクルト監督)が「いや、確かに行ったように見えました。いま風が右に吹いてるから戻されたんでしょう」とフォローしてくれたのですが、脂汗が出ました。さっきまで風は吹いてなかったんだけどなぁ…って言い訳はダメですね。
なんだかんだで山崎投手2失点、小笠原投手1失点。試合を作った2人はお見事でした。 (フリーアナウンサー・松本秀夫)