まいど! ロッテ・佐々木朗希投手(23)がポスティングシステムを利用しての米大リーグ移籍を球団に容認されたことについては、ファンの皆さんも思うところは多いのではないでしょうか。今回ばかりはバッサリいかせてもらいまっせ!
私が気になるのは、佐々木の選択はいつも周囲が〝納得感〟を得にくいということです。彼のターニングポイントには常にモヤモヤがつきまとって物議を醸しますよね。
プロ入り5年目で通算登板数は「64」、29勝15敗。いわゆる積み上げ系の成績がこれほど少ない数のまま、ポスティングを容認された日本人選手は過去にいません。佐々木がプロ入りした当初はロッテで成長を続け、大投手となってチームを優勝に導いてくれると信じたファンも多かったことでしょう。
だからこそ1年目は体作りに専念し、2年目以降も徐々に登板を増やしていくというチームの育成方針に賛同が集まったはずでした。しかし、佐々木の成長グラフは、上昇カーブを描き続けていくはずが、停滞したまま終わりを迎えました。3年目に完全試合を達成するなど瞬間風速的な能力の高さは見せてくれましたが、個人タイトルの獲得はなし。チームを優勝させることもなく去るのはいかにも寂しい。
思えば岩手・大船渡高3年夏の岩手県大会で、甲子園行きが懸かった決勝の登板回避から、モヤモヤ感が続いているのではないでしょうか。このときは打者としての出場もなく涙を呑みました。欠場は当時の監督さんの決断ではありますが、出場を直訴するでもなくリスクを避けることを受け入れた格好。前述の完全試合の次の登板でも、8回まで無安打無四球ながら、2試合連続完全試合という前人未到の偉業に挑むことなく、やはり首脳陣に降板を打診されて従っています。偉業に挑むよりもリスクの手前でブレーキを踏むという判断を優先する姿からは、賢明さと同時に物足りなさもついて回るのです。
プロ野球は期待のホープが努力を続け、名プレーヤーへと成長を遂げるさまを見届ける物語でもあります。みんなが見たかった佐々木のストーリーの「ロッテ編」は期待外れで終了。メジャーに舞台を移した〝続編〟で巻き返すハードルは、相当高くなったといえそうです。
また、ロッテのポスティング容認の判断は、チーム内で不満が広がる危険もはらんでいます。能力は高くとも大した実績のない選手が、熱意と継続的な希望を理由にメジャー行きが容認されたのですから、他の選手にも認められなければ筋が通らない。ドラフト前や入団時の交渉で「5年以内にメジャーに行かせてください」と希望する選手が次々に出てきてもおかしくない。そうして、どんどんと成長途上の選手を輸出していけば、「メジャー球団の育成機関になり下がった」との批判を免れることはできないでしょう。 (元日本ハム投手・岩本勉)