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衆院選、自民非公認12人〝当落〟予測 再炎上させた石破首相、野党から批判噴出 萩生田氏に「政治とカネ」「旧統一教会」Wパンチ

zakzak by夕刊フジ 2024年10月13日 10時0分

政治評論家・有馬晴海氏が分析

衆院選(27日投開票)は、15日の公示を控えて事実上の選挙戦が本格化している。日本周辺の安全保障環境は緊迫し、経済や社会保障などの課題も山積しているが、世論の関心は自民党派閥の裏金事件に端を発した「政治とカネ」の問題に集中しつつある。再炎上させたのはほかでもない、石破茂首相(自民党総裁)だ。党が既に処分を下したものを総裁選で蒸し返し、最終的に旧安倍派を中心に小選挙区の12人、比例代表の3人に「非公認」を宣告した。比例単独の3人は出馬を断念したが、政治評論家の有馬晴海氏は、小選挙区の12人も党から投げ出され無所属として厳しい戦いになると分析する。

「私自身、2回無所属で戦った。どんなに辛いことか百も承知している。そこにおいて公認しない決断をした。大変つらい決断だ」

9日、解散直前に国会で行われた党首討論で、石破首相は非公認が〝苦渋の決断〟だったことを強調した。

だが、石破首相がかつて率いた「水月会」(旧石破派)が政治資金収支報告書にも不記載の疑いがあると指摘されており、野党からは「基準が甘い」「ご都合主義」と批判が噴出している。

自民党は11日、旧安倍派の杉田水脈、尾身朝子、上杉謙太郎の3氏が比例代表からの出馬を辞退したとして非公認を事実上決めた。

小選挙区についても党内からも恨み節があがる。非公認の対象が萩生田光一元政調会長や西村康稔元経産相ら旧安倍派に集中しているためだ。

具体的な展望について、有馬氏はまず、萩生田氏を最大の注目候補にあげる。

「安倍晋三元首相の最側近で首相候補として存在感を発揮したが、今回は難局だ。政治とカネの問題に加え、立憲民主党が対抗馬に擁立する有田芳生元参院議員は旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に絡む問題を追及する急先鋒(せんぽう)だ。この『ダブルパンチ』はジワジワと効く。萩生田氏には『役職停止なのに、党都連会長にしがみついた』との批判もある。地元では支援の機運もあり、『やや優勢』とみるが、予断を許さない」

西村氏、地元「王国」で有利な戦い

同じく旧安倍派の有力者だった下村博文元文科相、高木毅元国対委員長は「やや劣勢」という。裏金事件では生前の安倍氏の指示を無視し、政治資金パーティー収入の議員への「還流」が続いたことが判明している。下村、高木両氏は〝裏切りの構図〟を知る立場とされたが、明確な説明は避けてきた。

有馬氏はこう分析する。

「下村氏はキャリアがあるが、地元人気はいま一つで過去の選挙戦では苦戦した。安倍派の〝後継〟問題で後れをとり、派閥内の影響力も低下していた」「高木氏の福井2区には元自民党で元職の山本拓氏が無所属で立つ。山本氏は、高市早苗前経済安保相の夫で、強烈な高木批判で知られている。政治とカネの問題を徹底的に追及するだろう」

これに対し、萩生田氏らとともに「安倍派五人衆」の一人に数えられた西村氏は有利に戦いを進めそうだ。有馬氏は「地元は『西村王国』といえるほど支持が浸透し、独壇場だ。優秀なエリートで部下に厳しすぎるなどの指摘があるが、仕事では必死に汗をかき、人当たりの良さを好感する声もある」と語った。

唯一の旧二階派である平沢勝栄元復興相は徹底した地元活動で過去9期を全勝で突破してきた。だが、「79歳のベテランだけに『政治とカネ』の問題を抱えた今回は『古い自民党』の悪いイメージと重なってしまう」(有馬氏)。

党処分が比較的軽かったなかで非公認とされた議員は、さらに苦しそうだ。有馬氏は小田原潔、細田健一、菅家一郎各氏を「やや劣勢」とし、今村洋史、中根一幸両氏についてはかなり苦戦すると予測する。

「政治とカネの問題が大炎上していた3月に立憲民主党が行った調査では、全国で立民が議席を伸ばし、自民党は東京選挙区で『全滅』の可能性があるなど大苦戦するとの結果が出たという。その時点から情勢改善したかといえば国民の不信感はより深まった印象もある。自民党執行部は非公認について、既出の党処分を参考にしつつ、地元活動や情勢分析を加味して判断した。厳しく言えば『党に見限られた候補』が、非公認とされた側面もある。国民の判断で当選できれば、公認する、というスタンスだ」

有馬氏はさらに、総裁選で石破陣営の選対本部に入っていた菅家氏の処遇に注目する。

「石破首相は菅家氏側に『見捨てない』と応援を約束したというが、なんともチグハグな対応だ。非公認候補を後押しするのは筋が通らず、国民に『自民党の処分は適当』と断じられかねない。党内が分裂模様のなかで、キングメーカーとして存在感を強める菅義偉副総裁、総裁選で惜敗した高市氏らが陰に日向に非公認議員を支援するのではないか。選挙後を見すえた動きが早くも広がりそうだ」

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