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張本美和が決めた! 卓球女子団体「金」に王手、格下相手にストレート負けから再起 決勝で中国と激突 平野美宇は献身サポート役

zakzak by夕刊フジ 2024年8月9日 13時12分

【パリ(フランス)8日(日本時間9日)=山戸英州】卓球女子団体準決勝は日本がドイツを3―1で下し、2大会連続で決勝進出を決めた。第4試合で勝利し、銀メダル以上を確定させた張本美和(16)=木下グループ=は五輪の重圧に苦しみ、第2試合で格下相手にストレート負けを喫したが、気持ちを切り替え、リベンジに成功した。左腕を傷めるエース・早田ひな(24)=日本生命=をシングルスで温存しながら、平野美宇(24)=木下グループ=と張本の奮闘で頂点まであと1試合のところまできた。10日(同11日)の決勝で悲願の金メダルを懸け、5連覇を狙う中国と激突する。

2―1の第4試合シングルス。快勝して卓球女子団体の決勝進出を決めると、16歳で世界ランキング8位の張本は安堵の涙を流した。格下選手に痛恨のストレート負けを喫した第2試合から再起し、重圧をはねのけた。「ほっとしているという一言だけ」と実感を込めて語った。

第2試合は、同100位で18歳のサウスポー、アネット・カウフマンの逆横回転サーブに苦しみ、劣勢の展開が続いた。最後まで挽回することができず、「パワーで競り負けた。本当に気持ちが切り替えられないくらい落ち込んだ」と張本。

この日2試合目となった第4試合の第1ゲームも初対戦のシャオナ・シャンに2―7とリードを許した。

「負けてしまうのではないか。チームにもっと迷惑をかけてしまうのではないか」。そんな不安がよぎったが、平野と早田にかけられた「思い切って」との言葉を心で復唱しながらプレー。長いサーブや力強いラリーで上回り、怒濤の8連続得点で逆転。最後のゲームは1点も奪われず完勝した。

前日の男子団体準決勝で兄の智和(21)が最終第5試合で2―0から逆転負けし、膝から崩れ落ち、悔し涙を流した。試合自体は「しっかり見られていない。特に話もしていない」というが、大舞台で勝ち続けるプレッシャーを受けながら戦うのは同じ。当初は戦術に気を取られて「うまくハマらなかった」という反省点をすぐさま生かして修正、「来たボールを思い切って打ち返す」と原点に立ち返り、勝利を呼び込んだ。

第1試合のダブルスでは早田、平野が3―1で圧勝。リオ五輪女子団体の銀メダルを知るシャンと、ユアン・ワンの2人を寄せ付けなかった。

第2試合では張本がストレートで敗れ、1―1のタイで迎えた第3試合は平野が出陣。同96位の相手に主導権を譲らず第1、2ゲームを連取し、第3ゲームで5連続ポイントで逆転するなどストレート勝ちを収めた。決勝進出に王手をかけ、張本にバトンをつないでいた。

銀メダル以上が確定した。だが、張本に満足感はない。

「考え過ぎないように思い切ってプレーができれば結果はついてくる」

自らに言い聞かせるように中国との決勝へ切り替えた。

■平野が献身サポート役

チームで唯一、2大会連続出場の平野は左腕に負傷を抱える早田とダブルスを組み3―1で勝利。陰に日なたにサポート役をこなしている。

この日は第3試合のシングルスでも3―0でストレート勝ち。ドイツは16年リオ五輪の準決勝で日本が敗れた相手だ。当時リザーブメンバーとして参加した平野は、「昔から強いチーム」と苦戦は織り込み済みで「動揺しなかった。経験が生きた」と振り返った。

今回の代表3人の中では年齢、経験ともリーダー格だが、自身は後輩を「引っ張る性格ではない」という。「練習では鬼の形相で気軽に声もかけられないが、会場を一歩出たら年下の選手からも『かわいい~』と声が漏れるほどおちゃめさも持っている」と関係者。同い年の早田をエース格として立てつつ、最年少の張本に対しては「コートを離れれば妹のように甘やかして、リフレッシュさせている」。チームの潤滑油は見事な立ち回りで、五輪初出場の2人を決勝まで導いた。

▽卓球女子団体準決勝

日本 3―1 ドイツ

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