衆院選で公示前の4倍となる28議席を獲得した国民民主党の玉木雄一郎代表が強気の姿勢を見せている。自民、公明両党の連立政権への参加を否定する一方、政策や法案ごとに連携する「部分連合」に前向きな考えを表明した。政府・与党と一線を画しつつ、「手取りを増やす」政策を実現させて存在感を示す。石破茂首相としては、国民民主党を与党側に引きつけることで政権の延命を図る狙いだ。
玉木氏は、特別国会での首相指名選挙では「1回目も2回目(決選投票)も玉木雄一郎と書くのが今の方針だ」と述べ、石破首相や立憲民主党の野田佳彦代表には投票しない考えを示した。石破首相の選出を実質的に妨げないことを意味する。
国民民主党幹部は、政策協議入りした場合、内閣不信任決議案には賛成しない考えも示した。新たな問題が発覚すれば再考するとした。
一方、自公両党は来月に取りまとめる経済対策で、国民民主党を念頭に政策協議を呼びかける検討に入った。対象となるのは、国民民主の看板政策といえる「103万円の壁」の撤廃だ。パートで働く人らの年収が103万円を超えると所得税が課税され、逆に手取りが減るため労働時間を抑えてしまう問題で、その上限を178万円に引き上げるよう主張している。与党側も年収の壁解消を訴えているため実現の可能性が高い。
もう一つの看板政策が、ガソリン税を一部軽減する「トリガー条項」凍結解除だ。今年の通常国会で自公と国民民主の3党で協議したが、決裂した経緯もあるが、政権内で影響力を持つ有力議員は「もうそんなことは言っていられない。財務省は反対するだろうが、凍結解除を迫るしかない」と語る。
玉木氏の「いいとこ取り」戦略はうまくいくのか。
角谷浩一氏「部分連合は党内でも温度差」
政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「玉木氏は部分連合に前向きだが、党内でも労組系の候補とは温度差もあるだろう。来年には東京都議選や参院選を控え、『自民に政権を維持させたままでいいのか』と党内や支持者、立民など他の野党からの反発も予想される。『部分連合』の話が表に出るのが早すぎる感もあり、玉木氏はさらに駆け引きを続けるのではないか」と指摘した。