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わが社の「健康経営」 ニチレイ(2)深夜勤務やシフト勤務を食事術でサポート メンタルヘルス教育、セミナーから研修に格上 対策強化しやすい社風作り

zakzak by夕刊フジ 2024年8月21日 15時30分

「1日3回の食事」「睡眠6時間以上」が健康に役立つといわれる。しかし、交替勤務やシフト制など、勤務時間がバラバラだと、健康的な生活習慣を維持するのは難しい。一方、ストレス過多の時代、部下のメンタルケアに迷うこともある。そうした困りごとのサポート強化に取り組んでいるのが、ニチレイグループの健康経営だ。

【オンラインセミナーで交替勤務アドバイス】

同社は体験型健康支援プログラム「ニチレイ健康塾」を2016年に開始し、月ごとにテーマを決め、社内でセミナーを開催している。保健師が講義をするだけでなく、クイズや質問に答えるなど、聴講者とのやり取りを可能とした。すると「深夜勤務明けは疲れているので、ご飯を食べてすぐに寝てしまう。健康に良くないがどうすればよいのか」といった質問が寄せられたという。

「深夜勤務や交替勤務、シフト勤務で、食事内容や食べるタイミングは変わってきます。勤務体系に合わせて健康的な食事がとれるように、アドバイスしています」と語るのは、保健師の同社人財開発部ウェルビーイング経営推進室の白田真奈美氏。

たとえば、夜勤明けに定食をしっかり食べてすぐに寝てしまうと、胃腸の消化活動で睡眠の質が落ち、逆流性胃炎や胃もたれなど不健康につながる。

「深夜の休憩中に食事をとり、夜勤明けは、豆腐や野菜を入れた鍋物など、消化の良い食事を勧めています」(白田氏)

加えて、シフト勤務では、寝る時間や起きる時間が日々変わるため、生体リズムが崩れやすい。同社では「起床時に強い光を浴びて、1日3回の食事をとる」といった基本を「ニチレイ健康塾」で教えている。

【メンタルヘルス教育は必須受講の研修に】

メンタルヘルス不調は職場の共通の問題になっている。厚労省のストレスチェック制度の導入は義務化され、ストレス度が高い場合は、医師による面接指導も勧められている。ニチレイグループでは、2023年にメンタルヘルス教育をセミナーから研修へ格上し、管理職全員が受講する予定で進行中だ。

「コロナ自粛明けから高ストレス率の割合と保健師相談が増え、職場の対策を管理職が強化することが大切だと考え、研修に格上しました。基本編はオンラインで行い、実践編は研修施設に集まってもらうことで、〝知の共有〟に役立ててもらっています」と、同室室長の酒井麻路氏は説明する。

ニチレイグループは約300の事業所があり、業態や職場環境の異なる管理職が集まると、事例や解決策などさまざまな話につながる。集まった情報を〝知の共有〟として、対策を強化しやすい社風を作っている。

そこには上司・部下の区別はなく、酒井氏はこう展望している。

「管理職自身のメンタルヘルスも大切ですから、セルフケアの方法なども講師が教えています。従業員も管理職も、全てのメンタルヘルスケア向上に役立てたいと思っています」 (取材・安達純子) =火曜日掲載

■株式会社ニチレイ 加工食品事業、低温物流事業、水産事業、畜産事業、バイオサイエンス事業、不動産事業。グループ従業員数1万6385人(2024年3月31日現在)。1945年設立。経済産業省等の「健康経営優良法人(ホワイト500)」に8年連続で認定。

【健康経営とは】従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践すること。従業員の健康が生産性や企業価値の向上につながり、就活や転職先企業の指標にも。

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