大相撲秋場所 9日目=16日、東京・両国国技館
苦手はつくらない。関脇大の里(24)=二所ノ関=が連日の雪辱で、初日から9連勝を飾った。
西前頭3枚目の若元春(30)=荒汐=を突き押しで攻め、土俵際で寄り倒し。先場所に並ぶ9勝目にも「1日1番、集中してやるだけ」と繰り返すが、対戦2連敗中だった相手に進化した強さを見せつけた。
若元春は「出足をつぶされると思って早く立って、踏み込み自体はよかったけど(体重が)乗ってなかったので残された。圧力があったし、強いですね」と脱帽。九重審判長(元大関千代大海)も「取り口を変えたわけではないけど。自信に満ちて相撲を取るゾーンに入っているんじゃないですか」と舌を巻く。
名古屋場所では6敗を喫したが、黒星をつけられた相手との再戦で5日目は隆の勝、7日目からは平戸海、御嶽海、若元春と次々に雪辱に成功。九重審判長は「まだ大銀杏も結えないのに、1場所1場所強くなっていく過程を見られるのが非常にいい。もし負けたら苦手意識が湧くけど、今場所で解決してしまう。同じ相手に2、3回続けて負けないのが上位に行く人の資質」と高く評価する。
九重審判長は「大の里は苦手な力士はいないんじゃないですか」とも話したが、最も苦手といえば先場所の不戦勝を除いて3連敗中の大関豊昇龍か。この先の優勝争いでも最大の関門となりそうだ。
(塚沢健太郎)